若いクリスチャン男性読書聖書
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批評家による会社経営の記録

東浩紀さんの『ゲンロン戦記』(中公新書ラクレ)を読んだ。まるで菊池寛の文藝春秋創業を思わせるような会社の滑り出しの手作り感や最先端感と、会社が実体を持ち始めていったときの大変さ。経営実務を任せていた人の使い込みあり、勤務の懈怠あり、トラブルずくめの奮闘記である。

カリスマ的人物の実力の上に乗っかって、当たり前のように自分の食い扶持があると考えるスタッフに対する違和感。一方で、自分と似た匂いがする人に対して、志を同じくしてくれると思って期待する東さんの甘さ。でも、それゆえに生まれる貴重な出会いもある。学びとしては、会社はみんなのものというのは欺瞞であるし、実際にみんなのものにはなっていないことだろう。オーナー経営者は孤独であり、そうでなければならないということかもしれない。