相反する欲求を同時に満たすことでヒット商品が生まれる
人間はわがままなので、矛盾したニーズを持つものです。
矛盾にはいろいろなパターンがあります。たとえば「やりたいけれど、続かない」というライザップ型。心の葛藤型といえるかもしれません。
あるいは、相反する要素のどちらかを立てればどちらかが立たないというトレードオフ型もあります。
しかしその矛盾を解消し、相反する欲求を同時に満たすことができたならば、必ずヒット商品が生まれます。
一番搾りの糖質ゼロは、おいしいビールに含まれる糖質をカットしたことで、味と健康のトレードオフを両立させました。頭痛薬のバファリンの「早く効いて胃にやさしい」もトレードオフでしょう。
考えてみたら、軽自動車というのもそうです。
「運転が苦手な私には、小さくて運転しやすい、かわいいクルマがいい。でも、実際使うときは広くて荷物をたっぷり詰めたいし、広くないと乗り心地が悪い」
というわがままを、背の高いワゴン型にすることでかなえています。
iPhoneも電話と銘打っていますが、本質は小型コンピューターです。重くて持ち歩けないコンピューターをポケットに入れて持ち歩けるようにして、世界的なヒットとなりました。
フリクションペンはヨーロッパで生まれた
また、ボールペンなのに消せる「フリクションペン」。これは、インクの色が変わる技術を応用したものです。インクの色を変えられるという技術を知ったパイロット・コーポレーション・オブ・ヨーロッパの社長が、
「このインクの色を変える技術を使って、インクを透明にできないか」と発想した。
なぜならヨーロッパの人たちにとって鉛筆は絵を描くものなので、学習では小学生でも万年筆かボールペンを使います。だから間違えた字を修正するのが大変。それでインクを透明にすることでヨーロッパで大ヒットし、逆輸入されたといういきさつがあります。
さらには体に触れなくても体温が測れる赤外線体温計など、矛盾を解決することでイノベーションを起こした商品は枚挙にいとまがありません。
ぜひとも「おうち○○」の考え方を応用して、新しいニーズを探ってみてください。