暴力団を離脱した人のうち、再就職できた人の割合は3%にすぎない。それでは残りの97%はどうしているのか。龍谷大学嘱託研究員の廣末登さんは「暴力団離脱者は、携帯電話や銀行口座などの契約を断られやすい。どこにも居場所がないため、犯罪に手を染めてしまうケースが多い」という――。

※本稿は、廣末登『だからヤクザを辞められない 裏社会メルトダウン』(新潮新書)の一部を再編集したものです。

暗い部屋でタバコを吸いながら紙幣を数えるスーツの男性
写真=iStock.com/Motortion
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97%の離脱者はどこに行ったのか

就職率約3%……この数字は、2010年度から18年度にかけて、暴力団離脱者のうち就職できた人の割合です。暴力団排除条例(以下、暴排条例)が全国で施行された2011年度からの2年間は、1%未満でしたから、若干、改善しつつありますが、依然として低い数字であることは否めません。

2010年度 暴力団離脱者 630人 就職者7人
2011年度 暴力団離脱者 690人 就職者3人
2012年度 暴力団離脱者 600人 就職者5人
2013年度 暴力団離脱者 520人 就職者9人
2014年度 暴力団離脱者 490人 就職者21人
2015年度 暴力団離脱者 600人 就職者18人
2016年度 暴力団離脱者 640人 就職者27人
2017年度 暴力団離脱者 640人 就職者37人
2018年度 暴力団離脱者 643人 就職者38人

以上の通り、暴排条例が施行されてから9年間、全国の警察や暴力追放運動推進センターの支援による暴力団離脱者は合計5453人、そのうち就職者は約3%のわずか165人なのです。残りの約97%の離脱者はどこに行ったのでしょうか。さらにいうと、ここで就職したとされる離脱者のうち、その職場に定着して、継続的に仕事をしている人はどれほどいるのでしょうか。残念ながら、追跡調査のデータはありません。

就職率約3%という数字を見ても、2003年から暴力団研究を行ってきた筆者は、昨今の暴力団排除、反社排除の世相と自身の経験に照らして違和感はありませんが、やはり、この165人の方が、現在も仕事を続けているかどうかという点については、一抹の不安があります。