【NG言動・5】母親のイライラ
子供のやる気を奪ったり、プレッシャーを与えたりするのは、言葉だけではない。実は、母親の表情が、気づかないうちにマイナスのメッセージを伝えてしまっていることもある。長年、中学受験専門の家庭教師として、たくさんの家を訪問して感じているのは、母親がイライラしていたり、眉間にしわを寄せていたりしていると、子供の成績が伸び悩むということだ。
小学生の子供にとって、母親は一番の存在だ。反抗期が始まっている子でさえ、母親の愛情は一番安心感を与える。だからこそ、子供は母親の表情や気配に敏感だ。母親の後ろ姿を見ただけで、その日の気分が分かってしまうほど、母親をよく観察している。子供は自分の行動に対して、母親がニコニコしていたら、自分は認められた、肯定されたと感じる。逆に母親が不機嫌だったら、自分が否定されていると感じ不安になる。その不安が頑張ろうという気持ちを奪ってしまう。眉間にしわが寄っていたら要注意だ。
中学受験の勉強が始まると、親子の会話が勉強のことだけになりがちだ。勉強の話になると、つい嫌な言い方をしたり、顔の表情がきつくなったりするものだ。それによって、親子関係がギクシャクしてしまうと、中学受験はしんどいものになる。
振り返ってみてほしい。なぜ中学受験をさせたいと思ったのか。それはわが子には幸せな人生を歩んでほしいと思ったからではないだろうか。子供にとっての一番の幸せは家族の笑顔だ。とりわけ母親の笑顔で安心感を得ることができる。この安心感こそが、頑張る気持ちを育む。わが子に頑張ってほしいと望むのであれば、親は子供に安心感を与える言葉と表情を心がけてほしい。
(構成=石渡真由美)