48期連続増収増益を達成した企業がある。「かんてんぱぱ」のブランドで知られる寒天メーカー・伊那食品工業(長野県伊那市)だ。塚越英弘社長は「会社として数値目標はいっさい設けない。それ以上に大切なものがある」という。成長を続ける原動力はどこになるのか。金沢工業大学虎ノ門大学院客員准教授の石井大貴氏が聞いた――。

※本稿は、石井大貴『「目標」を「現実」に変えるたった3つのルール』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

“自らつくる目標”が“幸せな人生”につながる

私は、目標とは「こうなりたい」「こういう人生でありたい」「今よりよくなりたい」というような、漠然としたもののほうがよいと思っています。

塚越英弘さん
伊那食品工業・塚越英弘社長(写真=筆者提供)

仮に目標を明確に設定しても、状況は変わるものです。しかも、ガチガチに目標を固めてしまうと身動きがとれなくなってしまうことすらあります。一方で「もっとよくなりたい」という思いは不変です。そして、こうした向上心や希望や意欲は、誰にでもあると思います。

そう考えると、目標は状況や環境により“変わるもの”であり、目的は“不変のもの”といえるでしょう。会社の目的、人生の目的は、“よりよくなること”、つまり“幸せになること”だと思うのです。

当社の企業理念は「いい会社をつくりましょう」ですが、私の思う「いい会社」とは、業績だけでなく、従業員や周囲の人が「“なんとなく”いい会社だな」「昨日よりもよくなっているな」と日々感じることができる会社です。

「きっと、今日よりも明日のほうが少しずつよくなっているな」と、働く人みんなが希望を持てる会社なんて、素敵だと思いませんか。