あなた自身が「なぜそれをするか」を理解しているか

あなたは部下に「なぜ」を伝えているでしょうか?

本書では、上司にはまわりから「この人のために動こう」と思ってもらえるような「巻き込む力」が求められると説明しました。まわりの人たちを巻き込んでいくには、シネック氏が言う「なぜ」の部分を常に伝えていく姿勢が欠かせません。

その理由は、「この人のために動こう」と相手に思ってもらうためには、上司であるあなたが語る「なぜ」の部分に相手が共感し、心を動かされるという「感情」の要因が大きく影響するからです。双方に「感情的な繋がり」があるからこそ、相手のために「動きたい」というモチベーションが発生するのです。あなたが「なぜ」の部分を伝えていくには、「なぜ、私はそれをするのか」を自分の中で明らかにしておく必要があります。

「今期の売上目標は必達」と会社から言われたとき、そのまま部下に伝えてしまっているのだとしたら、もしかすると「なぜ、それをするのか?」という理由をあなた自身が十分に理解できていないからかもしれません。

チーム内の雰囲気があけすけに語り合えるものに

そこでお聞きします。あなたが売上目標の必達を目指すのは、なぜですか?

自分の昇進のためでしょうか。それとも、チーム全体のさらなる成長のためのチャレンジでしょうか。来期の予算を確保するための布石でしょうか。

林健太郎『できる上司は会話が9割』(三笠書房)
林健太郎『できる上司は会話が9割』(三笠書房)

部下たちに「なぜ」の部分を明確に伝えるためにも、改めてご自分の考えを掘り下げてみてはいかがでしょう。そして、「なぜ」が自分の中で明確になったら、それを部下たちにも伝えていきましょう。例えば次のような感じです。

「私たちは今期、予算が厳しくて、ほしい人材を採用することができずに苦しんでるよね。来期はその状況を打破して、みんなが必要と言っている2人の新しい人材を採用したいと思ってるんだよね。それを会社にかけあったら、今期予算が達成できたら予算を増やすと約束してくれたんだ。だから今期の売上目標は必達という気持ちでがんばってほしいんだ」

「なぜ」の部分を部下たちに納得してもらい、さらにはあなたの理由や思いに共感や賛同ができれば、部下たちも「上司と一緒にがんばろう」という気持ちになります。

あなた自身が「なぜ、それをするのか?」を、部下たちに語ることが習慣になれば、チームの中に「それをする理由」をメンバー同士で話し合い、共有する土壌ができます。やがてチーム内の雰囲気が、いい意味であけすけに語り合えるものに変わっていくのです。

Answer:部下に「なぜ、これをするのか」の部分を伝えていく
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