※本稿は、安藤広大『リーダーの仮面――「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。
ルールに感情を挟んではいけない
組織を運営する上で、必ずルールが必要になります。それを現場レベルで決めるのが、リーダーの役割です。ただ、ルールを守るとき、もしくは守らせるとき、そこに個人的な感情を加えてしまうと問題が起こります。
「あの人は目標を達成しているから遅刻してもいい」
「出世したから、あいさつしなくてもいい」
「あいつは気に食わないから厳しく注意してもいい」
「中途で入ってきた人だから、前の職場のやり方でもいい」
このように例外をつくってしまうと、チームや組織は、非常に脆くなります。
「急いでいるから赤信号でも走っていいと思ったんです」
そんな車を1台でも許してしまうと、道路は一気に混乱します。会社も同じです。
「あの人は許されているのに、なぜ自分はダメなのか」と言い出す人が現れると、組織はぐちゃぐちゃになります。
上司のほうが人間的に優れているわけではない
そもそも、「上司」「部下」などの役割そのものが、ルールの産物です。ルール上の関係なのですから、それを運営するのにルールが必要なのは当然のことです。
別に、上司のほうが人間的に偉いわけではありません。会社というもの自体、1人の力では達成できないような社会への大きな目的を達成するための「機能」にすぎません。ルール上の関係なのだから、ルールで運営するというのが正しいだけです。そこに感情が入り込んでしまうと、「ルール上の関係」という意識が薄れてしまいます。
リーダーは、個人的な感情で動くのではなく、組織の人間として仮面をかぶり、ルールを守らせないといけないのです。