チームにとっての「要注意人物」

チームや組織にとって注意すべきことがあります。それが、「コミュニティの外側に出てしまっている人」の存在です。

「うちの会社って、スピード感がないところがダメだよね」
「自分がいなきゃ、うちの会社は回らないよなぁ」

このように評論家のような立場になったり、個人の力を過信しているような人たちが、あなたの会社にいないでしょうか。彼らの言動や行動を正していくのも、リーダーの重要な役割です。

どうすれば、彼らはコミュニティへの帰属意識を持つのでしょうか。そこで必要になってくることこそが、「ルールを守らせること」です。

「姿勢のルール」を設定し、守らせるのです。それでも、「私はそのルールは守りません」と反発する人は、その組織、あるいは会社には合わない人なのだと、識学では考えます。

とはいえ、もちろんリーダーには、辞めさせる権限はありません。人事権は経営者に任せ、リーダーは、とにかく感情で動かそうとせず、ルールを守らせることだけに集中します。

ルールを守らない人がいた場合でも、その人だけを特別扱いしてはいけません。

「好かれたい」「いい人に思われたい」という感情はグッと抑え、リーダーの仮面をかぶるのです。

ルール設定が売上アップの最短距離に

これは、ある飲食店のエリアマネジャーの話です。中途入社でマネジャーとして入ったのですが、売上の数字がなかなか上がらなかったそうです。

彼は中途入社であることに負い目を感じ、「現場とのコミュニケーション不足で会社にとけ込めないのが原因だ」と勘違いをしていました。つまり、「売上の問題」を「コミュニケーション不足」という他の問題にすり替えていたのです。

こういった場面でも、やることは同じです。ルールを設定し、ルールどおりに動いているかどうかだけに集中してマネジメントするのです。

そうすることで、目の前の人間関係の問題を考えなくなり、メンバーたちが迷わずに業務を遂行するようになります。その結果、彼はエリアマネジャーの中でトップの成績を出すようになったそうです。

このように、コミュニティへの帰属意識を素早く築き、早く結果を出すために、ルールの設定にフォーカスすることは有効なのです。

安藤 広大(あんどう・こうだい)
識学 代表取締役社長

1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングスを経て、ジェイコム(現:ライク)にて取締役営業副本部長を歴任。2013年、「識学」という考え方に出会い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11カ月でマザーズ上場を果たす。