経済評論家としての収入は半減した

私は3つの顔を持っています。経営戦略コンサルタント、投資家、そして経済評論家という別々の仕事をこなしているのですが、その中で新型コロナのイベント業界への打撃をもろに受けたのが経済評論家の仕事です。

ライブミュージックの群衆
写真=iStock.com/Cesare Ferrari
※写真はイメージです

ざっくり言うと私の経済評論家業のビジネスモデルは、ウェブ連載の記事で露出を確保して、年1~2回書籍を出版して話題をつくり、たまに放送メディアに出演して名前を売って、月2回程度の講演会で元を取るような仕組みです。

平年の収入構成比としてはウェブ30%、書籍20%、講演50%という感じの、イベント依存の構造です。これが新型コロナでどうなったかというとウェブ30%、書籍15%、講演5%、減収分50%と、ほぼほぼ評論家業の収入は半減しました。

昨年『日本経済予言の書』という書籍を出しました。新型コロナを含めた日本経済にこの先どのような試練がやってくるのか社会の関心も高かったのですぐに増刷もかかったのですが、そこから先のリアル書店での販売が例年のようには伸びません。感触で言えば新型コロナの影響で書籍販売も3割減ぐらいやられた感じです。

緊急事態宣言明けに講演依頼→第二波、第三波で中止に

そしてご想像のとおり、講演会による収入について2020年は9割減になりました。年初の段階で8月くらいまで月2本程度のペースで講演会の予定が入っていたのですが、新型コロナでこの予定がきれいにキャンセルでゼロになりました。

『日本経済予言の書』では「新型コロナ下のビジネスチャンスは気温が暖かい7月から10月までの4カ月しかない」というアドバイスを書いていたのですが、現実には昨年の夏の期間における講演依頼は、ほぼほぼゼロでした。

理由はこれも仕方のないことですが主催者の大半が緊急事態宣言があけた7月になってから新たに講演会を計画し始めたためです。夏の間に11月から1月にかけての講演の打診が入ってくるのですが、第二波、第三波でまたそのいくつかはキャンセルとなり、リアルな講演イベントが実施できたのは11月と12月に1本ずつでした。

周囲でもイベントに関わる人はたいがい、2020年は収入が激減する事態に直面していました。私を含めいわゆる文化人カテゴリーの人は他に本業があるため生活は何とでもなるのですが、苦しいのはタレント専業の人たちです。彼らのビジネスモデルもメディアで露出を確保してイベントやライブで収益を上げるモデルだったため、新型コロナによるイベント需要減は大打撃になりました。