「なんで経産省は、あからさまな予算の浪費をするのか」

「9月からの予算分はデロイトトーマツが仕切るみたいですね。ここみたいなコールセンターもわざわざ新しく作るんでしょ? 冗談みたいですよね」

センターの社員が返します。

「せっかくうちのオペレーターさんたちが場数を踏んで規則の知識が深まって、トークスキルも上がってきたから、てきぱきした応対ができるようになってるのに……。向こうのセンターはこれから急いで募集して、白紙の人に駆け足の研修で詰め込んで形だけ間に合わせたところで、ちゃんと案内ができるのかなあ」

スーパーバイザーはそれを受け、

「センターだけじゃなくて新しい審査部でもおんなじ調子だろうから、こっちの事務局の5月や6月みたいに、いろいろなことが滞ったり、ミスが起きたりするんじゃないですか。電通が入札しなかったんだからしょうがないけど、なんで経産省はわざわざ別の会社に発注して、あからさまな予算の浪費をするんですかねえ」

するとセンター社員はうなずきながら、吐き捨てるように言いました。

「結局あれは、『国民の皆様からの御批判にお応えしました』っていうポーズ作りなんですよ」

2人の懸念は、的中することになります。

「オペレーターが要領を得ない」といった不満が相次いだ

9月から新事務局での持続化給付金の申請受け付けが始まるや、さながら旧事務局の立ち上げ当初が再現されたかのように、SNSなどで「いつまでたっても給付されない」「コールセンターに電話しても、オペレーターの答えが要領を得ない」といった申請者からの不満が相次いだのです。

それだけなら旧事務局体制の側はただ傍観していればよかったのですが、私たちのコールセンターまでが“被害”を受けました。

給付金申請を検討中のある方が、新しいコールセンターへ提出書類に関する込み入った問い合わせをしたのですが、電話を受けたオペレーターが不慣れだったため、的確な回答ができませんでした。するとそのオペレーターはあろうことか、「より詳しい情報をお求めでしたら、今から申し上げる番号におかけ直しください」と、旧コールセンターへの連絡を案内したというのです。

電通本社ビル
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9月以降の申請者や申請検討者からの問い合わせを受ける窓口は当然、そのために設けれた新コールセンターです。私たちの旧コールセンターは新センターの開設と同時に、8月31日までに申請した方々向けの専用相談窓口へと役割が変わりました。仮に9月以降の申請者が旧センターに審査の進捗状況を問い合わせてきても、新旧事務局間でデータベースが共有されていないので、照会そのものができない仕組みになっているのです。だから新旧の持続化給付金ホームページ上でも、申請をいつ行ったかによって、問い合わせ窓口の電話番号が異なることが明記されています。

そんなところへ、新コールセンターからたらい回しにされた筋違いの質問が入ったのですから(もちろん対応はしました)、われわれの職場ではけっこうな話題になったものです。もっともそのむちゃ振りは新センター全体の方針というわけではなく、〈あっちならちゃんと答えられる人がそろっているはず〉と、件のオペレーターが勝手に旧センターへの連絡を案内しただけのようですが……。