アクション②:業務遂行能力より「巻込力」を高める

今後、「ジョブ型雇用」が日本企業にも浸透していくことは間違いない。働く時間の長さではなく、また、場所にとらわれることもなく、「成果を出す人」を評価するトレンドが加速する。そうした環境では、1人で作業をこなすのではなく、より多くの人を巻き込んでより多くの目標を達成する人が評価されるようになる。

かつてはIQ(知能指数)の高い人が、仕事の処理能力の高い人と評価されてきた。しかし今後は、EQ(心の知能指数)が高く、より多くの人を巻き込んで複雑な問題を解決できる人が評価されるようになる。

顧客のニーズがいっそう複雑かつ高度になっていく中で、一人でこなせることには限界がある。周囲を巻き込み、多様なスキルを持つ人材を活かして、チーム力で課題解決することが求められるようになる。

そんな中で「トップ5%社員」は、周囲を巻き込むために「自己開示」「返報性の原理」を使っている。彼らはみずから腹を割って話をする。自分の弱みを見せて相手との距離を縮めて関係を築く。

普段から率先して周囲の人をサポートしているため、その人が困ったときには周囲が率先してサポートしたくなる、そんな「返報性の原理」を普段から使っているのである。

業務上の知識を高めることも必要だが、チームを組んで1+1=2ではなく、3や4にする「巻込力」を20代で身につけておくべきだ。

アクション③:客観的な目を持つメンターとつながる

人材としての市場価値を高めながら成長していくためには、客観的に自分を見てくれる存在が必要だ。そこで、「トップ5%社員」は20代のうちにメンターを持っている。メンターとは、人材育成の指導方法のひとつで、客観的な立場で指導してくれる役割の人のことを指す。

「トップ5%社員」は、20代のうちにメンターを持つ比率が一般社員に比べて3.7倍も多い。「トップ5%社員」は「自分もああいう人になりたい」と思える人にお願いして、3カ月に1回、30分程度の1対1の対話をしている。

継続的に成長していくためには、「振り返る」ことが大切。効果的な振り返りをするためには、自分の置かれた立場・状況をできるだけ俯瞰的に見られる人にメンターになってもらうのがよい。3カ月の行動と成果をメンターとともに振り返って、その後の行動に活かしていけば着実に成長できる。

私自身も28歳のときに社内1人、社外2人のメンターを持ち、3カ月に1度面会して悩みや希望を聞いてもらった。異なる環境でビジネスをしている方々で、自分では気づかない能力や、まったく意識していなかった市場ニーズなどを教えてもらい、毎回大きな気づきを得ることができた。

アクション④:インプットよりアウトプットを習慣化

若手社員で意欲の高い人は、積極的に読書を通して学んだり、セミナーに参加したりすることでスキルアップを目指している。とくに「トップ5%社員」は書籍を年48.2冊読んでいて、これは「95%一般社員」の約20倍の数である。

30代で「トップ5%」に入った社員にヒアリングすると、61%が20代後半から読書の習慣を身につけ、30代でも継続していることがわった。

最高の成果を出し続ける若手社員は、インプットで終わらせないことがポイントである。インプットで終わったらただの自己満足であって、アウトプットすることで自己成長につながる。

とくに20代で「トップ5%社員」に入るような人は、たとえば読書をしたらnoteやTwitterにまとめと意見を投稿するなど、アウトプットを習慣化している。メンターとの定期的な対話の機会に、自分の学びをプレゼンすることをルール化している人もいた。

新たな行動に挑戦し、継続するのは難しい。しかし、「トップ5%社員」はすでに行っている習慣の前に新たな行動を少しだけ入れている。通勤電車でNewsPicksを10分読んだり、寝る前に15分だけ読書したり……。

これは「プレマックの原理」と呼ばれ、習慣化された行動の前に習慣化されていない行動をセットすることで、新たな行動が強化されて習慣になるというものだ。「トップ5%社員」の多くがこれを無意識のうちに実践していた。