③「評価」の壁
テレワークの普及により実力評価の機運が高まっている。労働時間ではなく、残した成果を評価する傾向が強まっているのだ。608社の人事責任者にアンケートを取ったところ「2年以内に評価制度を変更」すると55%が回答しており、成果主義の評価が加速していることがわかる。
しかし、これは新人や20代社員にとっては不利な部分もある。十分な権限をもらっていないのに突出した成果を残すのは難しい。2020年はテレワークで研修もままならなかったので、学習機会も先輩たちに比べ減っている。さらに、テレワークが常態化する中で成果主義が加速すれば、生き残りをかけたライバルとなった後輩は、先輩たちから助けてもらえないケースも出てくることは容易に想像できる。
「十分な機会をもらっていないのに、成果主義でアウトプットを残し続けるのは難しい」、率直にそう考える若手社員が多くなっているのである。
このような「3つの壁」が立ちはだかる中で、「このまま30代を迎えても大丈夫なのか」という不安が高まっている。「30代前半までが転職の限界」といわれる日本の労働市場において、自社で市場に評価される人材になれるのか、社外に転職できるのか、そんな不安の声を匿名アンケートの中で多く聞いた。
20代を中心とした若手社員の悩みは深い。
「トップ5%社員」がやっていた5つのこと
では、30代以降も活躍しているビジネスパーソンは20代のとき何をしていたのか。20代でも社内外で評価されている人材は何をやっているのか。
彼らは必要なスキルや人脈をすでに構築していて、テレワークにも柔軟に対応できている。成功のスタイルを確立しているため、働く場所やツールに左右されることもない。だからこそ彼らは、たとえ転職しても、その先ですぐに活躍することができる人材でもある。もちろん40代以降になっても、激変する雇用環境であろうとも自分なりの成果をあげていくはずだ。
そこで、前述の調査で浮かび上がった「3つの壁」を乗り越え、成長するための、「トップ5%社員」が実践する「5つのアクション」を紹介したい。
アクション①:修正力を重視する
20代で突出した成果を残す社員は、完全な目的志向で、端的に表現すれば「ずるい」人たちだ。目的を明確にして、それを最短距離で達成しようとするが、常に通例を破り、2段飛び3段飛びでゴールに到達しようと考えている。
「トップ5%社員」になる「成果を出し続ける社員」は無駄が大嫌い。資料作成では「差し戻し」という行為が生産性を下げることを知っている。「差し戻し」を防ぐために、「途中フィード=フィードフォワード」というプロセスを加えている。具体的には、「完成度20%」の時点で提出先に見てもらい、意見をもらうというものだ。
時間をかけて作成する設計図や報告書なども、フィードフォワードを徹底することで「必要以上の品質」になることを避けている。100%の品質を目指して作業をするのではなく、まずは作業を進め、途中で相手の意見を組み込んで修正する。また、そのための能力を高めている。
そのほうが、短時間で確実に成果を残すことができると知っているのである。