別の部屋に寝かせることで、母親の睡眠も劇的に改善する
また、2015年にイスラエルの科学者たちがおこなった実験では、赤ちゃんを別の部屋に寝かせることで、赤ちゃんだけでなく、母親の睡眠も劇的に改善することが証明されました。
生後3か月と6か月で、添い寝する親子と別の部屋で寝る親子を比べると、赤ちゃんと添い寝する母親は、夜中に起きる回数が多く、睡眠の質も悪かったのです。つまり、赤ちゃんを別の部屋に寝かせることで(起きたことがわかるように、泣き声が聞こえる部屋にするか、ベビーモニターを設置します)、親の睡眠も改善したのです。
90秒とはいっても、夜泣きしている赤ちゃんを目の前にしてあやさずにいるのは、心が痛みます。
新米ママ・パパの脳の活動を、リアルタイムで観察した研究では、わが子が泣いている写真を見るだけで、脳の中心にある扁桃体が強い反応を示すことがわかりました。扁桃体が活性化するというのは、たとえば警報音が鳴ったときのような状態で、パニックを引き起こします。
「赤ちゃんは自分とは別の存在」だと頭を切り替える
赤ちゃんが泣くと、この警戒心を引き起こす脳の領域が、クリスマスツリーの電球のようにぴかぴかと反応します。赤ちゃんが泣くことは、親にとって大きな不安であり、耐えがたい苦痛なのは、生物学的な反応として備わっていることなのです。
父親も赤ちゃんの泣き声に反応しますが、母親の脳のほうが大きな反応を示すこともわかりました。多くのママは、こう思ったことがあるでしょう。「わたしはちょっとした物音でも目が覚めてしまうのに、なんでパパは赤ちゃんが大泣きしていてもぐうぐう寝ているの?」それには、ちゃんと理由があります。父親の脳は、赤ちゃんのかすかな物音にまで警報を鳴らすようにはできていないのです。
この体の内側からのプレッシャーに逆らって、泣かせたままで待つのはとても難しいことです。睡眠不足で認知機能や感情のコントロールが低下していると、なおさらです。
ですが、この体の反応と、赤ちゃんが泣いたときに現実に起こることとは、分けて考えなければなりません。いますぐに、「赤ちゃんは自分とは別の存在だ」と頭を切り替えてください。