赤ちゃんの夜泣きは、どうすればおさまるのか。ノーベル生理学・医学賞学者の研究室に所属する睡眠科学者のソフィア・アクセルロッド氏は「お昼寝、あやし、早寝という3つのNG行動をとっている親が多い」という――。

※本稿は、ソフィア・アクセルロッド著、綿谷志穂訳『赤いライトで朝までぐっすり 赤ちゃん寝かしつけの新常識』(東洋館出版社)の一部を再編集したものです。

白い毛布の上に眠る赤ちゃん
写真=iStock.com/violet-blue
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NG行動①:赤ちゃんが目覚めるまでお昼寝させる

赤ちゃんの寝かしつけについて、「睡眠が睡眠を生む」という言い回しをよく耳にします。これは正しいのでしょうか?

日本の研究者によって、「赤ちゃんが夜ぐっすり眠るためにはお昼寝が必要」という話が本当かどうかを確かめる調査がおこなわれました。1歳半くらいの健康な赤ちゃん50人の覚醒と睡眠を追跡した結果、意外なことがわかりました。お昼寝の時間が短かった赤ちゃんほど、夜は早く、長く眠っていたのです。逆に、長くお昼寝をした赤ちゃんでは、とくに夕方以降にもお昼寝している場合、寝つきが悪く、夜中に目覚める回数も多くなっていました。

この調査結果によって、お昼寝についての常識がくつがえされました。ここで重要なのは、何度も眠ることと、お昼寝の時間の合計が長くなることを混同しないことです。

赤ちゃんは、24時間のあいだに必要とする睡眠を、お昼寝と夜の睡眠で複数回に分けてとります。お子さんが、必要な睡眠の大部分をお昼寝でとってしまったら、夜に寝る時間は短くなります。赤ちゃんに一晩中眠ってもらうには、お昼寝の時間を決めることがポイントなのです。

赤ちゃんが健康でいるために必要な睡眠の量とは

お昼寝のしすぎはよくないとわかったところで、次は赤ちゃんが健康でいるために必要な睡眠の量について見ていきましょう。このことについて、頭を悩ませているママ・パパは多いですが、ありがたいことに、科学は明快な答えを準備してくれています。

赤ちゃんによって成長に個人差はあるものの、睡眠パターンは似ていて、同じように発達していきます。新生児は一日中寝ていて、2歳になると毎日12時間寝ればよくなる、といった調子です。年齢ごとに必要な昼と夜の睡眠時間を把握することはとても重要で、このことは夜ぐっすり眠るためのスケジュール管理に役立ちます。

ラッキーなことに、わたしは何万人もの赤ちゃんの睡眠パターンをわざわざ調査する必要はありませんでした。赤ちゃんの睡眠というのはとても重要であり、研究しやすいテーマでもあるので、さまざまな調査結果を組み合わせた分析がいくつもおこなわれています。