コロナやインフルの感染・死者数が減れば、自殺者数増えてもいいのか
コロナ感染予防対策では、自粛要請に関するデメリットへの対策があまり考えられず、そのため、多くの人にそれが知られることがなく、結果的に自殺者数が増えたといえるのではないだろうか?
確かに今回のコロナ感染予防対策によって、感染抑制のほかにさまざまな副次的な効果もあった。
テレワークやオンライン授業などの普及の速度が速まり、インフルエンザや肺炎などほかの感染症患者やそれによる死亡数も減った。インフルエンザの死者数は例年3000人程度、肺炎の死者は10万人程度いるが、人々がマスクをし、ソーシャルディスタンスを保ち、不要不急の外出や会食を避けることで、死者数が大幅に減少した。
しかし、だからといって、うつなどによって自殺者が増加するのはしかたない、と割り切ることはできないだろう。国や医療の専門家は、自粛要請を筆頭としたコロナ対策の実施時には、もう少し国民の生活に寄り添って、デメリットの説明があってしかるべきだったと私は考える。
どんな施策でも、どんな治療法や薬でも、メリットとデメリットの両方がある。コロナによる死者を減らそうとして、自殺者が増えてしまっては元も子もない。直面する課題に対して、視野狭窄的かつ近視眼的になることなく、常に一つの事象を多面的に考察し、それを国民にわかりやすく伝える。それこそが政府の責務なのではないだろうか。