複数の業者に見積もりをとって比較することが
工事業者選びのセオリー
実をいえば、耐震診断ができてリフォーム工事も一通りできるという業者は、それほど多くはありません。大手が安心だと考える方もいらっしゃると思いますが、受託するのは大企業でも実際に作業に当たるのは地場の小規模な業者です。
その意味では大手のブランドも資金面での信用力にはなりますが、技術レベルを保証するものではありません。また、費用は中小に比べどうしても割高になります。
一方で、地震の恐怖を喧伝して、不必要な耐震補強工事を行う悪徳業者も少なくありません。
たとえば、建物の耐震性には全体のバランスが大事なのに、金物の強さばかりを強調し、数十万円もする「オリジナル金物」を取り付けさせようとしたり、「直下型地震がくると縦揺れで柱が浮き上がり、抜けてしまう」などと、事実とは異なる説明で恐怖心をあおったりします。
こういった悪徳業者は論外ですが、一般の業者でも信頼できるところと信頼できないところがあります。これは担当者と話をしていくなかで判別するしかないと思います。
耐震補強工事に限りませんが、よいリフォーム業者であれば、話し合いをもとに図面を引き、それを見積書とともにお客に提示しながら、細かい点についても丁寧に説明してくれます。
依頼者側は素人なので専門知識に乏しいものです。そのことを十分に斟酌したうえで、よい業者なら「見積書の扉の価格は建具のみの価格です。外枠まであつらえると、このくらいのアップになります」と指摘してくれます。反対に悪い業者は、依頼者と業者との知識や認識の差を悪用して、あとになってから「この扉の価格だと建具しか付かないよ」と言い出すわけです。
依頼するほうとしては「よい業者に、納得できる低価格で」工事をしてもらいたいというのが当然の望みです。そのためには、複数の業者と接触し、同じ工事内容について見積もりを出してもらうといいでしょう。手間はかかりますが、それが確実な方法です。