セブン-イレブン・ジャパンの朝礼「FC会議」について、広報の松本稔氏はこんな説明をする。

 「創業以来、毎週、続けています。鈴木(敏文会長)は何よりもフェース・トゥー・フェースを重要視しています。顔を合わせて話の内容を確認することこそコミュニケーションの基本だと信じている。全国津々浦々から千数百人もの社員が集まってきますから、運営経費も年間に30億円くらいかかります。しかし、それでも鈴木はテレビ会議に替えようなんて言いません。この会議をやめることはありえないと思います」

FC会議の発案者は鈴木氏である。彼が壇上に上がり、講話を始めると社員たちは背筋を伸ばす。身じろぎもせず、彼の言葉に耳を傾ける。

 「私はいかに発注の精度を高め、死に筋を排除し、売れ筋を揃えるか、その大切さを、切り口を替えてくり返し話します。それは寝ても覚めても買い手側の立場でものごとを発想してしまうくらい、お客の視点に立った発注の考え方を徹底して染み込ませ、血肉化するためです」

鈴木氏はこうした内容の講話を淡々と語る。経営者というよりも科学者のような話しぶりだ。シャウトすることなく、静かに、染み込むように言葉をつないでいく。彼の話しぶりは、ビジネスマンが朝礼でスピーチするときの手本とも言えよう。

朝礼を見学した後、私は本社近くにあるセブン-イレブンと他のコンビニ店舗を見学してみた。セブン-イレブンの店舗では、従業員が陳列棚を絶えずウオッチしていた。ある商品が抜き取られると、すかさず補充して隙間を埋めてしまう。それに比べて、他チェーンの店舗は棚に空白があった。

セブン-イレブンという企業の実力は朝礼と店舗の陳列棚に表れていると思う。