ネットフリックスが一人勝ちを続けるワケ

日本ではアマゾンプライムビデオやHulu(フールー)、その他いくつものストリーミングサービスがありますが、ネットフリックスが拡大しています。

ネットフリックス
写真=iStock.com/Christopher Ames
※写真はイメージです

ニールセンデジタルによると、2019年1月の日本における有料動画配信で利用者数が多かったのはAmazon Prime Videoの509万人。次いでNetflixが171万人だった。ネットフリックスの発表では、2019年9月に国内登録者数は300万人、2020年8月末時点で500万人を突破しました。

一方のアメリカでは圧倒的にネットフリックスの一人勝ちです。巨人であるディズニーが追いかけている状態です。アメリカ人からすれば、アマゾンプライムビデオはアマゾンプライムのおまけのような感覚です。

理由はいくつかありますが、まず、ネットフリックスは映像の質が他とは比較にならないほどこだわりがあることです。特に支持されているのが、オリジナル番組の制作です。

アマゾンプライムビデオもオリジナル番組を作ってはいますが、ネットフリックスの大ヒット作品『ハウス・オブ・カード』ほどに話題になっていません。Huluはそもそものコンセプトがテレビ番組を配信するものであり、ケーブルテレビと協力しながらサービスの提供を進めていきましたから、ネットフリックスとは考え方がまったく異なります。

ユーザーの好みに合わせて番組を作るとの考えは、各国で映像配信する際にも徹底されています。アメリカで評価の高かった映像をそのまま配信するのではなく、各国のテレビ局や映像制作会社と組み、それぞれの国で受ける映像をしっかりと把握。その上でオリジナルの番組を制作していきます。日本であればフジテレビと協力して制作した『テラスハウス』がいい例です。

ネットフリックスの現在の時価総額は約20兆円。ディズニーとほぼ同じ額ですが、ディズニーはテーマパークなどの運営も含めての額ですから、ネットフリックスがいかにすごいかが、お分かりいただけるかと思います。

現時点ではこれまでどおり、映像制作会社として徹底的にユーザーファーストを意識した作品を作り上げていくことは間違いないでしょう。ただそこから先。ディズニーのようなエンターテインメントサービスに進出するのか。あるいはキャラクタービジネスを手がけるのか。テーマパークから始まり、アニメーションに進出したディズニーとどのような戦い方をするのか。私はこの2社の動向に注目しています。

激化する通信会社による囲い込み

ネットフリックスの動向で注目している点がもう一つあります。5Gによるデータ活用です。データ活用はこれまでも行ってきましたが、今後は扱えるデータ量が膨大になります。その結果、どのような映像が作られていくのか。ネットフリックスは今後、日本でもさらに存在感を出していくでしょう。すでに、その傾向が見られます。若い人たちはテレビではなくスマートフォンで映像を観るからです。

5G関連のトレンドをいち早くキャッチした日本企業があります。KDDIです。KDDIは真っ先にネットフリックスに声をかけ、ネットフリックスの番組をauで観るためのパケット代金定額サービスを発表しています。