子ども時代の好奇心が天職へと導いた

彼は複雑なシステムに取り組んでいるときや、人に何かを教えているときが最高に楽しいと感じるということが鮮明になったのです。そして、彼はシステムについて誰かに教える仕事をしようと決意し、ヒューレット・パッカードを辞め、学界の道を選びスタンフォード大学で教鞭をとることにしました。

ジム・コリンズは自分自身の真の強みと可能性を、まるで子どもが昆虫観察をするかのように自己観察することで導き出したのです。少年時代に好奇心とともに昆虫ノートで磨いた「観察力」が、自己分析だけでなく、自身の専門分野とした企業研究にも発揮され、経営学の大家として成功する力になったといえるでしょう。

ここまで、すぐにできる自然の中でのコミュニケーション法を3つご紹介しました。

親の立場からすれば、不透明な未来に対して不安を覚え、どんなにお金をかけてでも子どもたちにあれもこれもとさせておきたくなるかもしれません。子どもの歩んでいく道を親が先回りして、しっかりと安全な道を整えて、高いところまで自動でたどり着くエスカレーターがないか探し回りたくなるかもしれません。

「自力で学び続けられる人」は何があっても乗り越えられる

しかし残念ながら、未来を完璧に予想することはできません。どんなに先回りして準備しても、思い通りにならないこともあるでしょう。それでも、未来がどうなろうとも、社会がどう変わろうとも、確実にいえることがあります。

それは、自力で学び続けることができる人は、途中で様々な困難や失敗、紆余曲折があったとしても、必ず成功にたどり着くことができるということです。

本山勝寛『自力でできる子になる好奇心を伸ばす子育て』(大和書房)
本山勝寛『自力でできる子になる好奇心を伸ばす子育て』(大和書房)

自らの内側に学びのエンジンを備えた人は、変化に対応しながら、少しずつでも毎日、毎年成長し続け、やがて望んでいることを実現します。自力で学び続けるエンジンを持つことこそ、本記事でお伝えしてきたあくなき「好奇心」を持つことです。

好奇心や学びのエンジンは、遺伝的に備わっているものだけでなく、意識して育てることができるものです。

日々子どもたちと接しながら、私自身も一人の親として子育てに悩みながら、苦労しています。子どもたちの明るい未来を築くためには、日本の子どもたちを育てる大人が、子どもたちの好奇心を思いっきり伸ばし、自力で学び続ける子に育んでいくことだと確信しています。

一人でも多くの大人がそのことに気づいて、子どもたちの可能性を最大限に引き出すことができれば、これ以上の喜びはありません。

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