オンライン討論プラットフォームの星「v台湾」とローメイキング

近時シビックテックの方法論であるクラウドローで頻繁に言及されるのが、台湾で構築されているオンライン討論プラットフォーム「v台湾(vTaiwan:ブイタイワン)」だ。

台湾・台北の中心市街地の様子
写真=iStock.com/GoranQ
台湾・台北の中心市街地の様子

2014年のひまわり学生運動で主導的に役割を担った台湾テックコミュニティ「ガブ・ゼロ(g0v)」によって構築された。クラウドロー(CrowdLaw)とは、ローメイキング(ここでは「立法」だけでなく、広く地方自治体も含めたルールメイキングを指す)の質を改善・向上させるために、当該ローメイキングの過程に市民参加を可能にするサービスのことだ。

彼らのホームページには「vTaiwanは、政府(各省庁)、選ばれた代表者、学者、専門家、ビジネスリーダー、市民社会集団と市民を一つにする、オンライン・オフラインの協議プロセスです。このプロセスは、代表者が決定を実行するのにより大きな正当性を付与するのに役立ちます」とある。市民、市民団体、専門家、そして選ばれた代表者らは、v台湾の使用を通じて、v台湾のウェブサイト、対面での会合やハッカソン(分野間で専門家が集中的に集まってプロジェクトを議論するイベント)など、様々なチャネルを通じて提案された法案について討論できる。

御用インフルエンサーだけの「永田町的」磁場を飛び越えよ

v台湾が討論の開催に使用しているデジタル・プラットフォームのひとつが「ポリス(Pol.is)」だ。アメリカ「ウォール街を占拠せよ(Occupy Wall Street)」抗議運動や「アラブの春」革命運動の後に、シアトルのコリン・メギルCEOとその友人が開発したという。特定の討論のためのトピックがアップロードされ、アカウントを持っている人は誰でもそのトピックにコメントでき、当該コメントにそれぞれ賛成票や反対票を投じることができる。

ネットはこのように時間と場所を飛び越えることで、特定の政策や法案について、意見を交換することができる。ここでいう「時間と場所」とは、すべて「永田町的な」時間と場所という磁場をも飛び越えられるということであり、それこそが重要である。

日々弁護士業務をしていると、様々な業種が存在し、それぞれに実務的な専門家が存在する。その人々の知見こそが、おそらく現状直面している問題解決への最短ルートを示してくれるのに、永田町にはそうした知見は上がってこない。業界団体や、「御用インフルエンサー」が入れ代わり立ち代わり出入りしているばかりで、その顔ぶれは固定化するばかりである。