現時点では「ビタミンD濃度が低い=罹患しやすい」とは言えない

この研究からは、「重症者は明らかに血中ビタミンD濃度が低い」ことがわかりますが、軽症者でも血中ビタミンD濃度が低いということは、重症度にかかわらず新型コロナに罹患する人は血中ビタミンD濃度が低い傾向があるのかもしれません。

ただし、血中ビタミンD濃度が低い人と高い人で罹患しやすいかどうかを比較したわけではありませんので、現時点では、血中ビタミンD濃度が低いと新型コロナに罹患しやすいと断言することはできません。

スペインの研究でわかった治療薬としてのビタミンD

2020年8月29日に発表された研究では、ビタミンDを治療薬として投与することで新型コロナ感染症の重篤化を防げることが、世界で初めて報告されました。この研究はスペインで行われたもので、二重盲検法という医学研究のなかではもっとも信頼性の高い方法に基づいたものです。

76名の新型コロナ感染患者を、ビタミンD服用群50名と非服用群26名に分け、その後の病状の変化について調べています。ビタミンD服用群では、カルシフェジオール(カルシジオールと同義)と呼ばれるビタミンD製剤を、入院日に0.532mg、3日目と7日目に半量の0.266mgを服用、その後は週に1回、0.266mgの服用を続けています。

その結果、図表3のように、ビタミンD服用群では50名のうち1名が重症化してICUに入室したのに対し、非服用群では26名中半分に当たる13名がICUに入室しました。さらに死亡者について見ると、ビタミンD服用群では1名の死亡者も出なかったのに対して、非服用群では2名が亡くなりました。

この臨床試験結果は画期的なものであり、ビタミンD製剤を服用することで、新型コロナ感染症の重症化を大幅に防ぐだけでなく、死亡すら防ぐ可能性を示唆する内容でした。

ビタミンD服用群の患者が50名と少ないために、絶対的な結論は導き出せませんが、ビタミンDによる新型コロナ感染症治療の可能性はあると考えても間違いではありません。

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