66歳になったばかりで、あと10年はバッジを付けていられる

②安倍派は「ほどほどの総裁候補」を複数抱えている

2つ目。これは、細田派の性質だ。

衆参両院議員あわせて100人近い勢力を誇る圧倒的な数の力を誇るが、それに加えて「ほどほどの総裁候補」を多数抱えている。下村博文、稲田朋美、萩生田光一、西村康稔氏らが「ほどほどの候補」にあたる。本人たちは「ほどほど」と呼ばれるのは不本意かもしれない。

ただ、将来の総裁就任に意欲を持ち、能力も評価されてはいるのだが、「次」を目指すにはまだ早いというのは客観的事実といっていいだろう。安倍氏は「次の次」もしくは「次の次の次」を目指す4人を競わせながら育てることになるのだろう。そして複数の「将来の総裁候補」を最大限活用して存在感を示すころができる。

これは、自派の総裁を次々に誕生させるという意味ではない。自派のカードをちらつかせて他派に高く売りつけ、内閣や党の主要ポストを独占するという選択肢もあるだろう。これは田中角栄氏が長年とってきた手法だ。

③安倍氏はまだ若い

3つ目。安倍氏の年齢だ。

長期政権を築いてきたので高齢のような印象をうけるが、66歳になったばかり。体調さえ万全なら、あと10年はバッジを付け続けるだろう。

これら3つの理由から、安倍氏は、令和のキングメーカーとして君臨していく可能性は十分ある。

そして、「3度目の首相就任」というシナリオも残る

ここまで「派閥会長」として隠然とした力を持ち続けるシナリオを書いてきたが、もう1つのシナリオがあることを指摘しておきたい。再々登板、つまり3度目の首相就任だ。先に紹介した通り、本人は「そんなことあるわけない」と笑う。ただ、過去の歴史をひもとくと伊藤博文氏は計4度首相に就任している。

今の首相、菅氏が71歳。米大統領を激しく争ったトランプ氏が74歳、バイデン氏が77歳。そう考えると安倍氏の再々登板というシナリオは絵空事ではない。

8月下旬、突然の辞任表明をした際は、政府、自民党を混乱に陥れたが、2カ月たらずで「おいしい」ポジションを確保しつつある安倍氏。あいかわらず浮き沈みの激しい、お騒がせ政治家であることには変わりない。

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