一人前のおせちを「家族の人数分」予約する人もいる
一方、新しいチャレンジも。開発が一番難しかったという一段重「招宝」(1万800円)は、料理にも精通したタレント・速水もこみちさんが監修。1~2人前の一段重というコンパクトな中で「お肉・海鮮のバランスを何度も見直し、見た目の配色に苦労しました」と安藤さんは話す。
味同様、見た目にもこだわったのは、「1年の始まりをおせちで元気に」という思いを届けたいと考えたからだそうだ。確かに、2020年は明るい年だったとは言えない。来年をいい年にという願いを込め、元気が出そうな華やかなイメージは、おせち選びのポイントになる。
思えば少人数用のおせちの開発で苦労した話は、過去あまり聞いたことがなかった。やはり今年のおせち商戦は、いつもと違うと思う。家族でテーブルを囲む予定だとしても、コロナ感染防止対策で一人前のおせちを「家族の人数分」予約する人もいるようだ。セブンに限ったことではないが、2021年の売れ筋おせちのキーワードのひとつは「おひとりさま」と言っていいだろう。
ローソンは『鬼滅の刃』のおせち
ローソンも、1~2人前の一段重おせちを増やした。過去にも少人数用が好評だった実績もあるそうだが、今年は2品に。鹿児島産安納芋を使ったきんとんや、神戸牛のしぐれ煮を盛りつけた「和風一段重」(9800円)と、『鬼滅の刃』とタイアップした「『鬼滅の刃』おせち一段重(1万5800円)だ。開発していたころ、爆発的な鬼滅ブームが起こることを想定していたかは定かではないが、お重や中蓋シートにアニメキャラクターがデザインされ、オリジナルの市松模様柄の風呂敷に包まれているとなれば、ファンならずとも見逃せない。エンタメ性がハレ商材の武器になる好例だ。
ローソンのおせちには、もうひとつ違ったトレンドがあるという。
「Pontaデータを見ると、近年おせち全販売数に占める『プレミアムおせち』(3万円以上)の比率が上がっている傾向があるんです」
と、広報担当の持丸憲さんは言う。