問題の本質が「政治ショー」にあることを忘れてしまったのか
産経社説はさらに訴える。
「結果は出たといっても、反対派はこれでよしとしてはならない。投票運動では市がなくなることへの不安を強調してきたが、ならば市を残してどうするかという前向きな議論こそもっと必要だ」
「賛成票も相当数が投じられた。全体を見れば単なる現状維持でよいということにはなるまい。地盤沈下が言われてきた大阪を改革せよという声が強いことを、反対派も直視しなければならない」
産経社説は、反対派にも賛成派にもこれまでの道のりを振り返り、大阪のこれからを見つめる「前向きな議論」を求めている。いわば喧嘩両成敗である。朝日社説がよく使う手法だ。スタンスが明確ですっきりする産経社説らしさが失われている。がっかりさせられた。
社説はその新聞社らしさが出てこそ、読みごたえがある。読者はそれを期待している。産経社説は9月4日付でこう主張していた。
「大阪の将来を決める住民投票である。推進、反対派の動きも加速しようが、丁寧な説明によって市民の冷静な判断を仰ぐべきだ。住民投票を政治ショーの場としてはならない」
産経社説は、問題の本質が「政治ショー」にあることを忘れてしまったのか。残念である。