もちろん来年2月の「本場」のカーニバル(お面などをかぶり仮装をする)についても、早くもドイツ国内のさまざまな自治体からキャンセルや小規模での開催が発表されています。

ドイツでも若者中心のイベントとして定着しつつある

ドイツには元々ハロウィーンを祝う習慣はなかったと先ほど述べましたが、最近では日本と同じように若者中心のイベントとして定着しつつあります。

筆者が子供時代を過ごした80年代は、ハロウィーンを祝う人を見かけることはありませんでした。英語の授業で、アイルランド発祥の習わしでイギリスやアメリカで行われているもの、として教わる程度でした。同じヨーロッパでありながら身近なものではなかったわけです。

その後1991年に湾岸戦争が起きた際、2月のカーニバルが一部キャンセルされたのですが、その時期に「代わりにハロウィーンを祝う」という動きが当時の若者を中心に広まりました。

しかし、今もドイツ人に完全に受け入れられているわけではありません。「昔ながらのドイツの聖マルティンのイベントがおろそかになっている」と非難の声も根強くあるのです。

日本の文化ではないのに、なぜあれほど盛り上がるのか

聖マルティンの日を祝うのは11月10日、または11日。子供たちが手製のランタンを持って歌いながら近所をまわり、各家庭からお菓子やフルーツをもらいます。一部でハロウィーンが行われるようになってからは、この聖マルティンのイベントが行われることが少なくなってしまいました。そのため「なぜ外国の文化を取り入れて、もともとの文化を大事にしないのか」という声がたびたび聞かれます。

ハロウィーンの夜にジャックランタン
写真=iStock.com/winyuu
※写真はイメージです

ドイツの聖マルティンの日は、どちらかというと幼稚園児や小学生向けのイベントです。一方のハロウィーンは「思春期など難しいお年ごろの若者」も多く参加してることから、ハロウィーンを祝う際に他人の家の外壁に落書きをしたり生卵を投げたりという悪ふざけが目立ち、酒に酔った人による暴力行為も目立つなど「お騒がせなイベント」というイメージがあるのでした。

日本でも近年ハロウィーンが流行する一方で、「もともと日本の文化ではないものに、なぜあれほど盛り上がるのか」という声もありますので、ハロウィーンというものに対する考え方はドイツと日本でちょっと似ているかもしれません。

今年は「鬼滅の刃」や「フワちゃん」があふれたはず

さて、そんな若者を中心としたお騒がせなイベントですが、ニッポンのハロウィーンでは、仮装がよく注目を集めます。年末が近づいてくると日本では「今年の流行語」が話題になりますが、“ニッポンのハロウィーン”を見ていると「その年に日本&世界で何がはやったのか」がよく分かるのです。