【10】「マーケティング力なし」“社内調整力ゼロ”の営業マン

日本ムーグ サプライヤー・デベロップメント マネージャー●<strong>小南 卓</strong>

日本ムーグ サプライヤー・デベロップメント マネージャー●小南 卓

1を聞いて10を知る営業マンは、どのように自分の仕事を長期的な売り上げへ結びつけていくのだろうか。

「営業の役割は単に商品を売り込みにいくだけでありません。答えのヒントはわれわれバイヤーの話の中にある。とすれば、ヒントを集めてもち帰り、開発や設計、製造部門にフィードバックするマーケティングの役割も担っている」

とアイフルホームの竹腰氏はいう。今は取引先に提供できるものがなくても、ヒントをフィードバックすれば一定期間後にはニーズに合う商品がつくれる。

「そのとき、“アイフルホームのためにつくりました”と、もってきていただくと非常に響きます。ヒントをもち帰り、社内を動かす力をもてる営業は必ず売り上げがついてきます」営業力は社内調整力によって裏づけられるということだ。日本HPの赤岸氏も、

「よく営業と開発と製造は仲が悪いといわれますが、営業にとってはどちらも営業成績をあげる源泉のはずです。バイヤーから見ても、開発や製造の現場をしっかりつかんでいる営業はすごく頼りになる。顧客を起点にすれば、仲よくなれるはずで、その旗振り役ができる営業はどの顧客からも信頼を得られるでしょう」

一方、社内調整力は営業マンの交渉力を後押しする面もあるようだ。

「例えば、われわれがサプライヤーさんの工場を訪問したとします。購買は1円でも安く買おうとするので、そのとき営業と技術と生産とでいうことが違えば、そこから入って一番の好条件をつかまえられます。ところが、誰に聞いても同じことをいう会社はまったく入り込むすきがない。われわれの訪問をうまく使って部門間の認識一致のチャンスにする。顧客を起点にして、ここまで社内調整ができる営業は本当に手ごわいです」(日本ムーグ・小南氏)