【15】「ホンネを引き出せない」“タテマエばかり”の営業マン
今回、バイヤーに取材して実感したのは、売れない時代だからこそ、ホンネの勝負が求められていることだ。ファミリーマートの永井氏に再度、登場願おう。
「商談ではわれわれも価格など、無理を承知でお願いします。それは個人的には先方の出方を試しているところもあるのです。“無理です”で終わらせず、ネックの部分を正直にいってもらい、“ファミリーマートさんのほうも(店舗への)導入率をあげてもらえますか”とホンネの条件を出してくれれば、私も本部に働きかける。互いにホンネで話ができれば、Win-Winの関係がつくれるのです」アイフルホームの竹腰氏も、
「できない理由を並べ、すぐあきらめる。営業マンとして恥ずかしいことです。“できない”という前に、できる方法を一緒に考える前向きな姿勢がほしいのです。こちらが示すQCD(品質・コスト・納期)の条件のうち、難しいものがあれば、私のほうもどれか条件を変えられないか、ホンネで考える。できないなら、できるメーカーに頼むしかありません」
ホンネをぶつければ、ホンネが返る。必要なのは踏み込みの営業だ。
【16】「『イエス』をいわせられない」“ノーをいうだけ”の営業マン
ホンネトークが重要なのは海外でも同じようだ。伊藤忠商事の浦部氏が話す。
「通常、交渉の仕方はこうです。こちらの条件に相手が“ノー”といった。次の交渉では“前回妥結しなかったのはあなたがノーといったからだ”という話から入り、今度はこちらが“イエス”といえる条件提示を求める。ただし、相手がホンネベースのときは違ってきます」
海外のホンネトークはどんなものか。
「日本と同じで、僕は“ごめんなさい”“ありがとう”という言葉を重んじます。相手が条件に応えられなかったとき、“ウラベ、すまない。今の自分にできることはここまでだ。本当に申し訳ない”と心から頭を下げてくれたとき、僕は条件を譲歩し、“来年は頼むな”と肩を叩く。この先、不況でマグロの需要が減り、取引先を絞らなくてはならなくなったとき、数字的な条件以上にウソをつかないホンネトークができる相手を選びます」
かけひきよりも、ホンネで勝負できる人間が最後は勝つ。