オンラインと対面では、コミュニケーションのコツに違いがある。元NHKキャスターで話し方教室を運営している野村絵理奈氏は、「オンライン会議では相手の目を見て話してはいけない」という――。

※本稿は、野村絵理奈『オンラインで伝える力』(ポプラ社)の一部を再編集したものです。

自宅で同僚とオンラインで話す男性従業員
写真=iStock.com/nensuria
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生の歌舞伎にはない「リモート歌舞伎」のメリット

対面でも同じことが言えますが、コミュニケーションをとる際に、相手と目線を合わせることはとても大事です。

そして、目線を合わせることに関しては、ある意味オンラインの方が対面よりも簡単かもしれません。

対面で相手が複数いる場合、目線を合わせたくてもすべての人の目を見て話すのは不可能ですが、オンラインの場合なら、テレビのアナウンサーがそうであるように、カメラ目線で話すことで、一斉に画面を見ているすべての人と目を合わせることができるからです。

2020年の6月に、Zoomを使った史上初の〈図夢ズーム歌舞伎〉が上演されましたが、その際も、舞台上の役者さんたちがカメラを見るたびに、観客は自分と目を合わせてくれたように感じ、それによってグイグイ引き込まれたという声が多く上がったのだそうです。これはまさに、生の歌舞伎にはない、リモート歌舞伎ならではのメリットの一つだと言えるでしょう。

また、相手の目を見て話すということが苦手だという人でも、オンラインの場合は、実際に見るのはカメラなので、そのハードルはグッと下がります。

視線を合わせるタイミングは、自分が話し終わるタイミングや資料が変わるタイミング、問いかける時などがおすすめです。これなら自然に相手と目線を合わせることができますし、信頼感や親しみといった印象を効果的に与えることができます。