学級は閉鎖が決まり、医師はいなくなり、店舗は閉まったまま

リチャード・デイヴィス『エクストリーム・エコノミー 大変革の時代に生きる経済、死ぬ経済』(ハーパーコリンズ・ジャパン)
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もうひとつの難題は負債だ。過大な借金に苦しむ村は合併に熱心であり、財政がしっかりしている村はいまのまま独立していたい。木沢近郊にある規模の大きな上小阿仁村は今後20年間で40パーセント人口が縮む見込みで、地元では合併に臨む覚悟ができているが、その負債の多さが合併相手としての人気に影響するかもしれない。

秋田で最近提案された合併は、藤里を他の7つの市町村とまとめ、森林地帯の名前をとって「白神市」にしてはどうかというものだった。だが、白神はもともと秋田ではなく、青森県の地名だという反対意見があがったうえ、各町の負債や力にばらつきがあるほか、小さな集落のあいだでも文化や伝統がそれぞれに異なり、祀る神や伝来の踊り、祭りも郷土料理のレシピも独特だとして、合併に否定的な声が相次いだ。

結局、合併話は流れた。そうしているあいだにも、それぞれの地域の学校のもともと小さかった学級は閉鎖が決まり、地元の医師はいなくなり、シャッターをあげない商店がますます増えていった。

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