期待を捨てると「対策」を考えられる
原因は、患者さんが「前回のデータがよかったからお祝いに」と、禁止している食べ物を食べてしまったからでした。こんなときも、「だから前回ダメって言ったのに!」などとは言いません。その代わり、こんな風に考えます。
「食事療法は、本人任せでは限界がある」
「管理できるシステムを考えたほうがよさそうだ」
「毎日、食事の写真を撮ってもらってやりとりしようかな?」
そう、期待を捨てれば「これからの対策」に目が向くのです。これは家族やパートナーなど、近しい相手に対しても同じです。大切な人であればこそ、勝手な願いを押し付けないことが重要です。
子育て中の方は、子供が「思い通りにならない」のは当たり前、と捉えましょう。子供の性格や能力をそのまま、ありのまま受け止めれば、対策を考えられます。
恥ずかしがりな子は恥ずかしがりなまま、ガサツな子はガサツなまま、その特性を「変えよう」とするのではなく、「どうすれば課題となっていることが解決できるだろう」と対策を練るのです。
食器洗いでコップを割ってしまう家族をどうするか
期待していると、期待通りにいかない相手に「変わってくれたら」と願ってしまいます。でも相手は変わりませんから、裏切られた期待はイライラや失望に変わります。
しかし、期待を手放し、相手を変えようとするのをやめれば、「どうしたらいいだろう?」と対策を講じられるのです。
私の友人は、「妻がコップを割る問題」の対策を考え中です。友人の奥さんは食器洗いのアクションがやたらと激しく、洗いカゴにガチャンと音を立てて置くと言います。高価なアンティークのグラスでも手加減ナシ。そのため友人宅では、欠けるコップや割れるコップが続出しています。
この被害を減らすにはどうするか。簡単なのは、友人本人が毎回洗うことでしょう。割っていいコップだけを使う、食洗機を買う、なども考えられます。ちょっと発想を膨らませて、「割れないコップを使う」のも面白そうです。プラスチックでは味気ないので、デザインも機能も兼ね備えた素材があれば理想的。
そんな素材がないなら、いっそ開発してしまうのもいいかもしれません。その分野の知識や技術のある人を紹介してもらって、ビジネスを立ち上げてしまっても……?
ここまでくると、もはやアイデア創出ゲームです。課題が楽しく思えてきます。
「そんな置き方ダメだよ!」と奥さんにガミガミ言うより、ずっとハッピーでしょう。発想も柔軟になるので、思考の活性化にも一役買うかもしれません。