会わないことがすんなり認められる状況

さらに、「アンチウイルス」でもあります。

長尾一洋『コンタクトレス・アプローチ テレワーク時代の営業の強化書』(KADOKAWA)
長尾一洋『コンタクトレス・アプローチ テレワーク時代の営業の強化書』(KADOKAWA)

実は、この順序で考えることがとても重要です。新型コロナウイルス感染予防対策として仕方なくオンライン営業に切り替えるのではなく、コロナ危機があろうとなかろうと「4E」という大きな価値があるのだから、コンタクトレス・アプローチを駆使してオンライン営業に切り替えるべきなのです。

とはいえ、いくら4つの大きなメリットがあると説明しても、コロナ前は「会う」ことの方に価値を感じる人が多かったこともあり、「オンライン」を使った会議や商談がなかなか浸透してこなかったのはみなさんもご存じの通りです。先方が「会いたいから来てほしい」と言っているのに「いやいや、お金も時間もかかるうえに効率も悪いから勘弁してください」と言うわけにはいきません。失礼な奴だ! とお叱りを受けてしまいます。

しかし今は、「コロナの心配がありますからね」と言えば、「会わない」ことがすんなり認められるようになりました。「ウイルス対策」という旗を掲げながら、4Eを求めて営業手法の改革を推し進めることができる、絶好の機会です。

どうやって信頼関係を築き上げていけばいいのか

リアル訪問からオンライン営業に切り替える際に、多くの営業担当者が不安に感じるのは「会えない中で、どうやって信頼関係を築き上げていけばいいのか」ということです。「オンラインだとドライな関係になりそう」「ビジネスライクになってしまって、あっさり切られそう」と考える人もいるでしょう。

オンライン営業であっても人間関係の構築は絶対に必要です。営業の仕事というのは「自分の持っている価値を伝えて、お金をもらえるほどのレベルでその価値を認めてもらう」ことです。相手の言いなりにならずに、ときには顧客の考えを否定したり、超越したりすることが求められます。多少耳の痛い提案をしても「君が言うなら」と受け容れてもらえるレベルの関係性は必須です。