「敵に塩を送る」といった心の広さがあってもいいはずだ
この後、朝日社説は安倍政権の不祥事を次々と挙げる。
「先の通常国会では、『桜を見る会』の私物化が厳しく追及された。公文書改ざんを強いられて自ら命を絶った近畿財務局職員の手記が明らかになったことで、森友問題も再燃した」
「河井克行前法相と妻の案里参院議員による大規模な買収事件が摘発され、選挙戦に異例のてこ入れをした政権の責任も問われている。検察官の独立性・中立性を脅かすと指摘された検察庁法改正案は、世論の強い反対で廃案に追い込まれた」
すべて事実ではあるとは思うが、朝日社説に「敵に塩を送る」といった心の広さはないのだろうか。
朝日社説は安倍政権のコロナ対応のまずさも忘れない。
「それに加え、コロナ禍への対応である。首相が旗を振っても広がらないPCR検査、世論と乖離したアベノマスクの配布、感染が再燃するなかでの『Go To トラベル』の見切り発車……。多くの国民の目に、政権の対応は後手後手、迷走と映った」
この朝日社説を書いた論説委員は、社会・経済との両立の難しい感染症対策の在り方をどこまで理解しているのだろうか。
来年9月には党員を巻き込んだ総裁選がまた行われる
最後に朝日社説は自民党に忠告する。
「懸念されるのは、安倍1強が長く続く中、自民党内で闊達な論議がすっかり失われたことだ。首相と石破茂元幹事長の一騎打ちとなった一昨年の自民党総裁選では、大半の派閥が勝ち馬である首相に雪崩をうった」
「最大派閥出身の首相の影響力に遠慮して、安倍政権の功罪がしっかり検証されず、政策論争そっちのけで、数合わせに走るようなことがあってはならない。国民の信頼を取り戻せるか、自民党にとってまさに正念場である」
「失われた闊達な論議」「国民の信頼」。いずれも政治の世界に欠かせない重要な事項である。沙鴎一歩も今回の総裁選は「自民党にとって正念場」だと思う。
仮に党員投票が省かれて菅氏が次期首相になったとしても、来年9月には党員を巻き込んだ通常の総裁選が行われるはずだ。その総裁選で選ばれる人物は、安倍政権を超える新たな路線を、私たち国民の前に示してもらいたいと思う。