歴史上の人物を「悪人」として描かない

——表紙と本編を同じまんが家さんが描いています。

【馬屋原】第1巻の担当は「将太の寿司」の寺沢大介さん。第1巻ということで会社としても気合が入っていることが伝わってきましたし、構成も演出もよかったですね。ただやはり巻によるばらつきはあります。この1巻で描かれた「黒曜石の矢尻」というアイテムが、最後の第20巻の最終話にも出てくるという演出も印象に残りました。

人物の描き方ということでいえば、講談社版では歴史上の人物を少なくとも悪人としては描いていないのが特徴です。悪役として描かれがちな道鏡についても、彼なりの事情があったのではないかということをていねいに描いています。また、歴史上で「三大悪女」と呼ばれる日野富子も、ヒロインのようなルックスで描かれている。このように歴史の新しい史観を反映しているところが、非常におもしろいと感じました。

——情報量やレベルについてはいかがでしょうか。

【馬屋原】普通に大学受験レベルですね。本来は、高校生が読むといちばん勉強になるのではないかと思います。でも、ちゃんと日本史を学んだことがある子であれば、小学生であっても楽しんで読めると思います。

書店で子供に選ばせるのが一番いい

——各社の学習まんが「日本の歴史」の特徴についてはわかりました。子供に与える際にはどう選べばいいのでしょうか。

【馬屋原】お子さんが読まなければ意味がないので、まずは書店に連れていって本人に選ばせてくださいと。これがいちばん教科書的な回答ですね。親や祖父母が選ぶということであれば、状況と目的によって選ぶシリーズが違ってくると思いますので、今まで申し上げた各社の特徴を参考にしていただきたいと思います。

——まだ読めないけど、家に置いておきたいという場合もありそうですね。

【馬屋原】そうですね。そういう親御さんもいらっしゃいます。「興味をもってほしい」という気持ちはわかりますが、わが事として受け止めたら、何かに興味をもてと言われて、果たしてもつのかということです。でも、もしお子さんが自分で興味をもったとしたら、それはすごい武器になります。ですから、きっかけになりうる可能性として、本を置いておこうということであれば、もちろんやらないよりはやったほうがいい。でも、そこに即時的な効果を期待するのではなく、何かのきっかけになればというトリガーのひとつとしても、学習まんがを活用してほしいですね。

(構成=芹沢夕 編集協力=KADOKAWA)
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