エリート街道を走っていたEさんの「失敗」

それと対照的な事例があります。某企業でエリート街道を突っ走っていたEさんです。

Eさんの会社では、40代の管理職から将来の経営幹部候補を選び出す研修を実施しており、彼もその候補に選出されていました。数年にわたる長期プログラムで、コンサル会社や研修会社が何社も参加する一大プロジェクトです。Eさんはこの研修の間、常に最有力候補と言われていました。私もこのプロジェクトに参加していたのですが、確かにEさんは極めて優秀でした。

ついに最終選考を迎えようとしたとき、ある「事件」が起きました。

実はEさんの上司である役員が、最終選考前にEさんに「当確」の情報を流していたのです。しかし、現実には最後の最後でどんでん返しとなり、Eさんは最終選考から漏れてしまったのです。

当確からのまさかの落選に、Eさんは激昂。上司は平謝りで、ついには最終選考で選ばれれば昇給したであろう1万円札3枚をEさんのスーツにねじ込む始末です。その後もしばらく、Eさんのふてくされた態度と言動は誰の目から見ても明らかでした。

もちろん、上司にも問題があったでしょう。しかし、上司に激昂する姿や、その後のふてくされた態度を、誰もが見てしまいました。結局、その後、Eさんに出世のチャンスが再び与えられることはなかったのです。

ピンチの時は「覆面調査」と思って乗り切る

仕事をしている以上、「まさか」の事態が降りかかることは多々あります。それが意に沿わないものであればあるほど、負のエネルギーは膨大になるでしょう。

大塚寿『できる40代は、「これ」しかやらない』(PHP研究所)
大塚寿『できる40代は、「これ」しかやらない』(PHP研究所)

しかし、そのネガティブなエネルギーを飲み込んだDさんと、爆発させてしまったEさんで、その後の結果は天と地ほども違ってきてしまったのです。

感情をコントロールできるかどうかは、40代にとって大きなポイントです。20代であれば感情を爆発させても「まだ若いから」「元気があっていい」と思ってもらえるかもしれませんが、40代はそうはいきません。逆境のとき、ピンチのときこそ、あなたがそれにどう向き合うかを必ず誰かが見ていることを忘れないでください。企業によっては、幹部候補にあえて試練を与えるようなところもあります。

お勧めしたいのは、ピンチに陥ったときは常に「あ、これは覆面調査だな」と思うことです。誰かが見ていると思えば、きっとブレーキが利くはずです。

不条理なときこそ「誰かに試されている」と考えましょう。決して感情的になってはなりません。

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