2020年度の新入社員は例年のような研修を受けられず、多くがいきなり現場に配属された。その結果、トラブルが起きている。社員研修・人材教育に携わる朝倉千恵子氏は「人事からの『今年の新入社員はあまりに仕事ができない』という相談が目に見えて増えている。このレッテルを跳ね返すには、3つのコツがある」という――。
2020年度新卒社員は仕事ができない
あえて言いましょう。2020年度の新卒社員に対して、今、「あまりにも仕事ができなさすぎる」というレッテルが貼られようとしています。
2020年に新卒として入社した皆さん。皆さんは非常に大変な時期に社会人としての第一歩を踏み出しました。そんなこと言われなくても分かっている、と思うかもしれません。内定を取り消されてしまった人もいます。当初の予定から2カ月遅れてようやく初出社を果たした人もいます。日本全体が緊急事態宣言で揺れる中、十分大変な思いをしてきたことでしょう。
でも、皆さんにとっての踏ん張りどころは、実はこれからです。
改めまして、こんにちは。私は、企業の人材育成や社員教育を行う「新規開拓」という会社の社長をやっています。毎年、3~5月にかけては日本全国、業種や規模を問わず、1000社以上の企業の新入社員研修を行っていました。
2020年は、予定されていた新入社員研修の9割以上がキャンセルや延期となりました。理由は皆さんもご存じの通りです。そして緊急事態宣言が解除された後も、改めて研修を実施している企業は半分以下、当初の予定の40%程度です。
営業を停止していた2カ月分の遅れを取り戻さなければいけない。お金に余裕がなくなってしまった。まだこれから先がどうなるか分からないので新人教育の計画が立てられない。
さまざまな理由で、ようやく入社を果たした新入社員の方の多くが、そのまま現場に配属されることとなりました。私も経営者ですから、会社側の事情はよく分かります。新型コロナの影響で大ダメージを受けた売り上げをどう挽回するか、オンライン時代に合わせた働き方をどうするかについて日々頭を悩ませています。過去と同じやり方が通用するほど、今回の混乱の影響は小さなものではありませんでした。