空母にF35B搭載、日本海に派遣

さて、独立独歩の道をひたすら邁進する文大統領は、ついに来年から初の空母を建造すると発表した。2021~25年の国防中期計画で明らかにしたもので、3万トン級の軽空母には米国の垂直離着陸ステルス戦闘機F35Bが搭載され、日本海に派遣する予定という。約27兆円を投じて空母や大型潜水艦などを導入するとともに、監視・偵察能力を強化する計画は文大統領の「野望」が満ちているといえるだろう。2022年5月までの任期中には米国からの戦時作戦統制権の返還を目指しており、「世界に冠たる大韓民国」の確立を急いでいるように映る。

トランプ大統領が提唱した先進7カ国(G7)首脳会議の拡大会合への参加にも意欲的で、康京和外相をドイツに派遣して韓国の参加に理解を求めたり、文大統領が自ら豪州のスコット・モリソン首相との電話会談で「グローバルな懸案への対応に貢献できる」と確認したり、その鼻息は荒い。だが、そろそろ「現実」を知るべき時かもしれない。いつまでも自分勝手な言動を繰り返していれば、周囲はどんどん離れていくだけなのである。

トランプ再選で在韓米軍撤収の可能性増大

その象徴となりそうなのが米国との関係だ。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル電子版は7月17日、国防総省がホワイトハウスに在韓米軍(約2万8500人)の削減を提案したと報じた。たしかに現行水準の維持が盛り込まれた米国の2021会計年度国防権限法案は可決されたが、大統領が署名を拒否すれば例外となるため、それが保証されているわけではない。ボルトン前米大統領補佐官は7月21日、時事通信のインタビューで「トランプ氏は在韓米軍の削減・撤収や北大西洋条約機構(NATO)からの離脱を周囲に漏らしており、在日米軍も例外ではない」と強調。トランプ氏が再選すれば「撤収リスクが増大する恐れがある」と指摘している。

2019年4月の訪米時、トランプ大統領がわずか「2分間」しか文大統領に向き合わなかったことを振り返っても、それが「非現実的」と笑うことはできない。11月の大統領選で仮にジョー・バイデン元副大統領が勝利しても「在韓米軍維持」との結論に至るかは不透明だ。

米国は激しく揺さぶりをかける。マイク・ポンぺオ国務長官とマーク・エスパー国防長官は今年1月16日の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに連名で「韓国は扶養家族ではない」とのテーマで寄稿し、「韓国側は駐留米軍に関係する費用の3分の1ほどしか負担をしていない」と不満をあらわにした。米国は在韓米軍の駐留経費をめぐる交渉で2019年比の5倍近くを要求し、これに反発する韓国側との不協和音が続いている。