国公立大学と一部の私立大学には、家庭の経済状況と成績基準により授業料の全額または半額が免除される制度がある。日本財団子どもの貧困対策チームの本山勝寛氏は、「奨学金と比べて知名度が低いが、成績も親の収入もあまり厳しい基準ではなく、幅広い人が対象となりうる。ぜひ活用してほしい」という——。
通帳と日本円と電卓
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授業料を4年間まったく支払わずに済んだ

奨学金については、メジャーな社会問題として各種メディアに取り上げられ、多くの人が知ることとなった。一方で、同じ高等教育とお金に関わる制度である「大学授業料免除制度」については、メディアもまったくといっていいほど取り上げないため、一般的にはあまり知られていない。

その結果、家庭の経済状況によって大学進学をあきらめないといけないと、一般的に信じられているのではないだろうか。しかし、私自身は大学授業料免除制度の恩恵を受けて、授業料を4年間まったく支払わずに東大を卒業できた。しかも、そういった授業料減免を受ける大学生は決して特別な例外ではなく、かなりの人数いるのだ。

これだけ素晴らしい制度が知られていないのは、まさにもったいない話だ。では、メディアではあまり取り上げられないこの制度の実態をみてみよう。

日本には国公立大学と一部の私立大学で、家庭の経済状況と成績基準により授業料の全額または半額が免除される制度がある。

国立大学の年間授業料は2017年現在で標準53万5800円(月額約4万5000円)なので、4年間でおよそ215万円の給付型奨学金を受給するのと同じ経済的支援を受けることになる。