コロナ禍で収入が急減した人のために、国は給付制度の要件緩和や対象拡大を実施している。つまり「申請すればもらえるお金」が増えているのだ。ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんが、教育費に困ったときに知らないと損する4つの制度を紹介する――。
卒業の帽子とコインの置物
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収入減で給付型の奨学金がもらえる可能性が出てきた

新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、親世代では世帯収入の激減、子世代(学生)にもアルバイト収入の激減など、教育費についての影響も生じています。そうした中で学びの機会を確保するため、経済的に困窮した学生などに対して、奨学金について、緊急の制度が設けられています。

奨学金には、大きく分けて「給付型」と「貸与型」があります。前者は返済の必要がないもの(もらえるお金)、後者は返済の必要があるもの(借りるお金)です。貸与型には、利子が付くもの、付かないものに分けられます。

最優先で考えたいのは、給付型の奨学金です。

高等教育の修学を支援するため、2020年から「高等教育の修学支援新制度」が創設されました。低所得世帯の学生に入学金・授業料を減免し、奨学金を給付するものです。減免額や奨学金の額は学校(大学、短期大学、専門学校など)や世帯収入などによって異なります。

給付などを受けるには収入制限があり、会社員の夫、収入のない妻、本人(大学生)、高校生の4人世帯の場合、年収461万円が上限です。

年収の条件がやや厳しく「要件から外れて利用できなかった」という人もいるかもしれませんが、コロナ禍で収入が減少(収入基準を満たす水準まで減少)した場合、利用できる可能性があります。

この制度は通常、春および秋に奨学生の募集が行われますが、家計急変の場合は通年で申し込みができることになっています。新型コロナウイルス感染症に関わる影響により家計が急変した場合もこれにあたり、申し込みが可能なのです。