コロナ禍ではじまった新たな奨学金の条件
貸与型の奨学金にも、緊急の措置が講じられています。
日本学生支援機構が行う、「緊急特別無利子貸与型奨学金」です。
同機構の奨学金には、利子が付かない第1種と、利子が付く第2種があり、第1種は成績の水準も高め、かつ、生計維持者(父母など)が住民税非課税であることなど、厳しい条件があります。対して2種では成績、経済についての条件も緩やかで利用しやすいと言えます。
「緊急特別無利子貸与型奨学金」は、コロナによって経済的に困窮した場合について、第2種と同様の条件で、無利子の貸付が受けられる、というものです。
対象は、国内の大学・短期大学・高等専門学校(4・5年生)・専修学校(専門課程)・大学院の学生・生徒になります。
利用できるのは、おもに次のような要件を満たす人です。
②推薦時において第2種奨学金の貸与を受けていないこと
③多額の仕送り(年間150万円以上)を受けていないこと
④生活費や学費に占めるアルバイト収入の占める割合が高いこと
⑤学生等本人のアルバイト収入が新型コロナウイルス感染症拡大の影響で大幅に減少(前月比50%以上減少)したこと
奨学金はお金について考える大切な機会
成績については、出身学校または在籍する学校における成績が平均水準以上など、複数の要件からいずれかを満たすこと。家計基準は在学している学校(国立大学か私立かなど)や世帯人数などによって異なります。
借りられる額も学校によって異なり、以下のようになっています。
●大学院/月額5万円、8万円、10万円、13万円、15万円
(法科大学院の法学履修の場合、15万円に4万円または7万円の増額が可能)
●高等専門学校/本科4、5年生・専攻科 月額2万円~12万円(1万円刻み)
●専修学校(専門課程)/月額2万円~12万円(1万円刻み)
貸与の開始は2020年4~9月から選択でき、2021年3月まで貸与が受けられます。申込先は在学している学校の奨学金窓口で、学校からの推薦後、最短で翌月には口座に振り込まれます。
利子の負担が生じないことは大きなメリットと言えます。とはいえ、元本は卒業後に返済しなければならず、負担になることは否めません。奨学金を借りるのは学生本人、返すのも本人です。卒業後、無理なく返していけるか、返済計画を立ててしっかり検討したうえで利用しましょう。
収入がダウンしても奨学金を借りることで学びを継続できるのはいいことです。とはいえ、借金は、将来得られる収入を前借して先に使う、という意味合いのもの。
将来の権利を先取りするのですから、そのことを念頭に置き、しっかり学びたいものです。親御さんは、お子さんに対して、そうしたアドバイスもされるといいでしょう。お金について考える大切な機会になると思います。
なお、日本学生支援機構のホームページに「奨学金貸与・返還シミュレーション」がありますので、どの程度の返済が必要になるか、確認してみてください。
そのほか、大学によっては独自の給付金制度がありますので、詳細を確認し、有利なものを利用しましょう。