ポリ袋はビニール袋とは違う。実はエコ。

ただ、レジ袋を作る側の人々にとっては、とてつもない逆風である。東京都内に本社を置くファッションバッグ・レジ袋・ゴミ袋,フィルムシート製造の清水化学工業が、自社ホームページに「脱プラスチック、脱ポリエチレン、ポリ袋から紙袋へ切り替えをご検討のお客様に一度弊社の声をお届けしたくメッセージを書かせて頂きます。」と、その持論を詳しく掲載。多くの反響を集めている。

同社によれば、「ポリ袋は実はエコ」だという。

① ポリエチレンは理論上、発生するのは二酸化炭素と水、そして熱。ダイオキシンなどの有害物質は発生しない。
② 石油精製時に(ポリ)エチレンは必然的にできるので、ポリエチレンを使用する方が資源の無駄がなく、エコ。ポリエチレンは石油をガソリン、重油等に精製した残り・余りもの。
③ ポリ袋は薄いので、資源使用量が少量で済む。
④ ポリ袋は見かけほどごみ問題にはならない。目に見えるごみの1%未満、自治体のごみのわずか0.4%。
⑤ 繰り返し使用のエコバッグより、都度使用ポリ袋は衛生的。
⑥ ポリ袋はリユース率が高い。例)レジ袋として使用した後ごみ袋として利用

……等々、メーカー側の都合の良い言い分ばかりかと思いきや、ポリ袋を塩化ビニール製と思い込んでいたような向きにとって、新たに気づかされる記述が多い。

ポリ袋は海洋プラスチックごみの0.3%

気になるのは、海洋プラスチックごみの種類の内訳(環境省「海洋ごみの実態把握調査」容量ベース 2016年)だ。多い順に漁網、ロープ(26.2%)、発泡スチロールブイ(14.9%)、飲料用ボトル(12.7%)、ブイ(8.9%)…と続き、「ポリ袋」はずっと下位、なんと0.3%しかない。

ゴミを出す分量が少ないほうがいいのは当然だが、物事には優先順位があるだろう。海に漂うプラスチックごみの1%にも満たぬポリ袋の減少を、なぜ大半の国民を巻き込んだ大仰なキャンペーンで奨励しなければならないのだろうか。

デンマーク・コペンハーゲン・コンセンサス・センターのビョルン・ロンボルグ前所長も、「すべての国がビニール袋を禁止したとしても、ビニール袋は世界の海に浮いているプラスチックの質量の0.8%未満しか占めていない」とその無意味さを語っている。米カリフォルニア州では、ビニール袋を全面禁止にして年4000万ポンドのプラスチックを排除したはいいが、ごみ袋として再利用していたビニール袋がなくなったせいで別の素材のゴミ袋や紙バッグの消費が激増。より多くの二酸化炭素を出す羽目になったという(THE GLOBE AND MAIL 2019年6月17日)。

何よりも、新型コロナの感染が取りざたされる中、同じ袋の使いまわしはウイルスを仲介してしまう危険が付きまとう。2016年にプラスチック製のレジ袋を禁止した米国カリフォルニア州では、紙袋などを10セント、日本円で10円程度で販売する法律を導入したものの、今年4月にレジ袋を無料で復活させる(NHK7月1日)など、元に戻す動きが続出しているのだ。