「価格」が「価値」を大きく下回った時に買う

ここで注意していただきたいのは、価格と価値は違うということです。

村上世彰『村上世彰、高校生に投資を教える。』(KADOKAWA)"
村上世彰『村上世彰、高校生に投資を教える。』(KADOKAWA)

一般的には、価値が高ければ価格も高くなりますし、価値が低ければ価格も低くなります。そうしたことから、高価なものというだけで価値があるものなのかな、と思ってしまいがちになります。

しかし、価値と価格は等しくない。ときには大きく乖離してしまうこともあります。これを見極めることがとても大事です。また、このときに投資の大きなチャンスも生まれます。

そんなに価値が高くないのにものすごい高値がついてしまう状態を割高といい、その乖離がひどいとバブルになります。

1989年とか1990年前後のいわゆるバブル時代には、株や不動産などの資産価格がバブル化しました。実際の価値の何倍もの値段がついてしまったのです。

どうしてそういうことになったかといえば、株や土地を欲しいという人が殺到して、需要が供給を大きく上回ったからです。当時は景気拡大が続く中で地価や株価の上昇が続き、不動産価格は上がり続けるもの、株価は上がり続けるもの、というような「土地神話」や「株神話」ができてしまいました。そして、日本銀行の金融緩和による金余り現象もあいまって、株や土地に投資マネーが殺到しました。

株価が上がる様子を見て「もっと上がるのでは」という思惑で買う

このように、何らかの理由で株にお金が殺到してしまい、株価が実際の価値よりもはるかに高くなってしまう現象が時々起こります。2000年ごろに起きたITバブルもそのような現象でした。

バブルの時に株や土地を買っている人たちは、株や土地の価値を考えて買っているのではなく、どんどん価格が上がる様子を見て、「もっと上がるのではないか」という思惑で買っています。こうした買いが殺到することで、本来の価値とはかけ離れた値段がついてしまうのです。

しかし、こうしたバブルは長続きするわけがなく、やがてはじけて、適正な価格まで落ちていきます。それどころか、バブルの反動で適正価格を大きく下回ることもあります。

バブル経済崩壊後やITバブル崩壊後、さらにはリーマンショックのような金融危機の時には、地価や株価が本来の価値よりも大きく下がる、という状況が起こります。このような時こそ投資家にとっては大きなチャンスです。私が株や不動産を買うのはこういう時です。

そうです、投資で成功するためのコツは、「本来の価値に比べて価格が大きく割安になっているときに買う」ということなのです。

逆にバブルの状況の時には、どんなに儲かりそうな雰囲気になっても手を出さないことが大事です。バブルの雰囲気に煽られそうになったら、今一度冷静になって、「その株の本当の価値はどのくらいか。その値段は割安でお買い得なのか」ということを考えてみましょう。