買い物上手は何を買うにしろモノの価値をよく知っている

実は今述べていることは何も特殊なことを言っているわけではなくて、普段の買い物にも通じることです。買い物上手な人というのは、物の価値がよく分かっていて、その価値に対して価格が適正、もしくは割安な時に買っているわけです。

村上世彰
写真提供=KADOKAWA

投資で成功するためにも、買い物上手になるためにも、物の価値や価格の感覚を養うことが大切です。たとえば買い物上手な主婦の人というのは、毎日のようにスーパーマーケットに行ってよく物の値段を見たり、チラシで各店の価格を比べたりと、とにかくよく観察して研究しています。

物の価値を考えることはすごく大事なことなので、皆さんも普段から「これはどのくらいの価値なんだろう」とか、「どうしてこういう値段がついているんだろう」というように考えるくせをつけてみてください。

私自身は、小さいころから百貨店の値札にすごく興味をもっている子どもでした。物を買うということにはほとんど興味がなかったのですが、値札を見ては、「どうしてこういう値段なんだろう」と考えることがとても好きでした。物の値段そのものにすごく興味があったのです。今考えると、こうしたことが物の値段や価値に対する感覚を養うことに役立ったのだと思いますし、投資家として良いトレーニングになっていたのだと思います。

投資家・村上世彰氏が4人の子どもに実践する「マネー教育」

また、私には4人の子どもがいるのですが、家族で外食に行った時に彼らと一緒に「食事代当てゲーム」というのをいつもやっています。これは会計の前に食事代が合計いくらになったかを一人ひとりが予想して、一番近い予想金額の人が賞金を貰えるというゲームです。

まずは、お店に入った時にメニューを一通り見て、できるだけ各メニューの金額を覚えるようにします。そして、会計前にじゃんけんで順番を決めて、一人ずつ予想金額を言います。その際、先に予想を言った人の金額と500円以上離さなければいけないというルールがあります。

このゲームで勝つにはできるだけメニューの金額を覚えることが役立つわけですが、とてもすべてのメニューの金額を正確に覚えることはできません。そこで、一つひとつのメニューについて「どうしてこれはこういう金額なのか」と考えるくせをつけます。そうすることで、「この料理はだいたいこの金額だな」という感覚が養われます。値段を覚えるというよりも値段について考えて感覚を養うことが大事なのです。

これは家族で楽しむためのゲームではありますが、価格と価値の感覚を養うのに、とても役立つゲームだと思っています。このように、いろいろ工夫して、ゲーム感覚で価格に対する感覚を養うのも1つの手だと思います。

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