財務はそれなりに健全、JALとANA

2020年3月期、日本航空の経常利益は1025億円で前年比38%減、ANAHDは同593億円、同62%減となりました。両社とも減収減益です。

日本航空では、世界経済の減速により日本発のビジネス需要が鈍化したことや、20年1月以降は新型コロナウイルスの影響で、国際旅客収入が前年比約10%減となったことなどを説明しています。国内旅客収入は順調でしたが、20年2月以降は外出自粛要請などに伴い、前年比約3%の減少です。全体的な傾向はANAHDもほぼ同様です。

注目したい指標に、「ロードファクター(座席利用率)」があります。便数も重要ですが、航空会社は効率的な運航で収益化を図っており、座席利用率がより重要な指標といえます。日本航空では国内線が20年1~3月期で約58%(前年比約13ポイント減)、ANAHDは約55%(同約12ポイント減)となっており、7割程度を維持していた過去の傾向を大きく下回っています。便数は激減し、座席利用率も利益が得られる水準に達していないとみられます。

日本航空の年間売上高は約1兆5000億円、ANAHDは約2兆円ですが、国際航空運送協会(IATA)では、今期、その半分が消失するという見通しを発表しています。実際、20年4~5月の座席利用率は両社とも約2割まで落ち込み、かなりの低水準です。