ファストファッション偏重は今後ますます進む

もっとも、ファッションにおけるブーム終焉による苦境はアメカジだけではない。例えばギャルファッションも同様に苦境に喘いでいる。90年代に起きたギャルブームの中で一世を風靡したギャルファッションの代表的ブランド「セシルマクビー」の全店閉店が先日発表されたばかりだ。アメカジと同様、ギャルファッションのブームが去って下火になり、それに伴いセシルマクビーは売り上げが低迷していった。

アメカジやギャルファッションを苦境に追いやったのはユニクロやZARA、H&Mといったファストファッションだ。人々の趣味や関心がファッション以外へ広がっていく中で「着るものは安く済ませたい」と考える人が増えていった。

こうした流れは新型コロナによってさらに加速していくだろう。巣ごもり傾向や節約志向の強まりで、着飾るための服や値が張る服を着る人が減っていくことが予想される。一方でユニクロのようなベーシックなファストファッションの需要はより強まると考えられる。事実、ユニクロでは新型コロナを受けてベーシックアイテムの需要が伸びたという。

反発して退店したゾゾにも再出店

いずれにせよ、ライトオンはアメカジに寄せすぎて客離れを招いてしまった。そのため、商品展開を見直し立て直しを図る。今後はアメカジを中心としながらも、トレンドを加味した幅広い客層を取り込めるプライベートブランド(PB)商品を開発したり、主力立地であるSCの客層に合った低価格の商品を投入したりして、離れていった顧客を呼び戻したい考えだ。

ネット通販も強化する。自社の通販サイトに関しては利便性を高めるなどして集客を図っていく。外部の通販サイトへの出店も拡大する。今春には、「ゾゾタウン」へ再出店した。昨年2月、ゾゾタウンが導入したサブスクリプション型の会員向け割引サービスに反発し退店したが、方針を転換した格好だ。年間800万超の人が購入するゾゾタウンを利用し、売り上げを回復させたい考えだ。

こうした施策で挽回なるか。アパレル苦境の時代に、手腕が問われている。

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