「人間とは何か」というところに立ち返る
それゆえ、ビジネスでも自分よりもお客様の利益を先に考えるとうまくいくようです。私自身も営業が苦手でなかなか注文がとれず頭を抱えていたとき、ある本にあった「商品を売ることよりも、どうしたらお客様の役に立てるかを考えよ。そうすれば向こうから注文がくる」という一文が目に入りました。それで、藁をもつかむ気持ちで実行してみたところ、本当に注文が入り始めたのです。その本はビジネス書でしたが、そこに書かれていたのはまさにお釈迦様の教えと同じことなのだと、あとになってわかりました。
ものごとがうまくいかないときは、「人間とは何か」というところに立ち返ると、答えが見えてくることがあります。そのために自分を見つめることを習慣にしてみたらいかがでしょう。
その手段として私がお勧めするのは座禅です。姿勢を正して座るだけですから、空いた時間にすぐできます。ただ、座禅というのは簡単そうでなかなか奥が深く、50年近くやっている私でも、いまだに本当の座禅ができているか自信が持てません。それでも、正しい姿勢で座ると気持ちはたしかに落ち着くので、できれば最初はお寺などで指導を受けるといいでしょう。
(構成=山口雅之 撮影=石橋素幸)