「ずっといい姿勢」を続けるのもNG

骨盤を立てると、それに連動して背骨にゆるやかなS字カーブがつきます。これは背骨の本来の形、「自然体」ですから、腰や背中の筋肉の負担が減ります。

さらに、デスクワークで前傾気味になっていた首の骨にも正しいカーブが戻ります。同様に、首や肩の筋肉も負担から解放されるわけです。

「仙骨座位」で不動化していた全身の筋肉が、座り直すだけでとりあえず動く、ということにも意味があります。

なお、もともと姿勢がいい人、つまり坐骨座位が習慣になっている人も注意が必要です。

いかにいい姿勢でも、ずっと同じ姿勢でいればやはり「不動化」の弊害が起きるからです。

というわけで、普段から坐骨座位ができている人も、15分ごとの「座り直し」はぜひやってみてください。

いったん体をダラッとリラックスさせて、そこから改めて坐骨座位で座り直す、というのがいいでしょう。

このときに、筋肉を緊張させて姿勢を整えるのではなく、骨盤の上に背骨をきれいに積み上げるイメージで、できるだけリラックスしたままいい姿勢をつくるようにしてください。

長時間座り続けるときは「足を大きく開いて座る」

なお、15分に1回の座り直しをしたとしても、やはり座ったまま長時間の作業を行うのはよくありません。

できれば30分に1回は立って動くこと。可能なら「肩甲骨はがし」ストレッチなどの運動を行うことも心がけてください。

「肩甲骨はがし」ストレッチ

どうしても長時間座り続けなければいけないときには、座り方を変えましょう。足を大きく開いて座るのです。

関ヶ原の合戦で、徳川家康が床几に座って戦況を眺めている。あのときの座り方だと言うとイメージしやすいかもしれません。この座り方だと、比較的筋力を使わずに姿勢を維持できるので、長時間の作業にも耐えやすくなります。

ややお行儀が悪いですが、デスクの下でやるぶんには問題ないでしょう。

もちろん、どんな座り方をするにせよ、できるだけ頻繁に立って動く時間をつくることは忘れないでください。

すでにおわかりのように、「こり」や「痛み」の起きやすさには、不動やストレスに加え、姿勢が大きく影響しています。

簡単にまとめると、

・前かがみ
・あごが前に出ている
・猫背になっている
・仙骨座位(ダラッと座っている)

こうした姿勢だと、「こり」や「痛み」が悪化しやすいのです。逆に、頭を上げ、あごを引き、背筋を伸ばして坐骨で座るようにするのが「よい姿勢」です。これは、体感的に理解していただけると思います。