日本では新型コロナウイルスに感染すると、「その人の行動に問題があったのではないか」という批判を受ける。ドイツ出身のサンドラ・ヘフェリン氏は「日本人は『コロナ感染は自業自得』と考える人が諸外国より圧倒的に多い。日本人はいじめや痴漢でも被害者を責めがちだ。これはおかしい」という——。
2020年7月18日、フェイスマスクをつけた人々が渋谷のスクランブル交差点で信号待ちをしている。
写真=AFP/時事通信フォト
2020年7月18日、フェイスマスクをつけた人々が渋谷のスクランブル交差点で信号待ちをしている。

コロナに感染するのは「自業自得」なのか

夏の到来で収まりを見せるのではないかと期待されていたコロナ禍。期待は裏切られ、新型コロナウイルスについて現在も終息のめどはたっていません。日本では東京を中心に感染者が増えているにもかかわらず、感染した人を「自己責任」と見なす社会の風潮はあまり変わっていません。今回は海外とも比べながら日本の「自己責任論」の背景にあるものを考えてみます。

先日、大阪大学の三浦麻子教授らの調査により、日本では他の国よりも「新型コロナウイルスに感染するのは自己責任」と考える人が多いことが分かりました。教授らが賛否の程度を6段階に分けた上で400~500人に「感染する人は自業自得だと思うか」と質問をしたところ、「どちらかといえばそう思う」「ややそう思う」「非常にそう思う」のうちのいずれかを選んだのは、アメリカで1%、イギリスで1.49%、イタリアで2.51%、中国で4.83%でしたが、日本ではこれをかなり上回る11.5%でした。

コロナウイルスへの感染について「自業自得だとは全く思わない」と答えた人は上記の4カ国では60~70%台だったのに対し、日本では29.25%にとどまっています。つまり日本では多くの人が「感染したことについて本人に全く責任がないとは言えない」と考えているということです。