大炎上し、公開を取りやめる事態に

この後、主人公の女性は「最近、さぼってた?」と独り言をつぶやき、画面全体に「変わりたい? 変わらなきゃ」というテロップ——

「働く女性の変わりたい」を応援するとの意図で制作されたこのムービーは、公開直後に大炎上。ツイッターなどでは不買運動を呼びかける声まで上がりました。ルミネは動画の公開を取りやめ、「弊社の動画においてご不快に思われる表現がありましたことを深くお詫び申し上げます」という謝罪文をウェブサイト上で発表しました。

女性を美しくするといった商品やサービスを展開している以上、キレイになることを是として打ち出す必要があります。そのとき、キレイになるということについて、何か別のメッセージを込めないと、男性の視線を介した生きづらさばかりが強調されかねません。しかし、ルミネはそれに大失敗してしまった。

「女の時代なんて、いらない。」と訴えた西武・そごう

このルミネの失敗に対し、同じようにファッションの販売店側が、それを乗り越えようとするような対照的なCMを打ち出しました。販売店側、西武・そごうのCM。2019年の元日に公開されたもので「女の時代なんて、いらない。」という力強いせりふから始まります。

女だから、強要される。
女だから、無視される。
女だから、減点される。
女であることの生きづらさが報道され、そのたびに「女の時代」は遠ざかる。
今年はいよいよ、時代が変わる。本当ですか。期待していいのでしょうか。
活躍だ、進出だともてはやされるだけの「女の時代」なら、永久に来なくていいと私たちは思う。
時代の中心に、男も女もない。わたしは、私に生まれたことを讃えたい。
来るべきなのは、一人ひとりがつくる、「私の時代」だ。
そうやって想像するだけで、ワクワクしませんか。わたしは私。

一貫して女性の声が低く、音響も暗いもの。おまけに女性がパイを投げつけられ、そのクリームを顔から拭いさる場面が描かれています。「そうやって想像するだけで、ワクワクしませんか?」の箇所だけ少し明るい声のトーンになり、笑顔。前年にあった東京医科大学などの女子受験生減点入試事件や安倍政権の「女性活躍推進」がメッセージの背景として意識されているので、かなり知的な印象を受けます。西武やそごうで売っている商品は何も出てこないので、本当にメッセージだけのCMです。