日本の若者は日本にいられるが…

ところで日本のヤンキーが海外留学なんて聞いたことがないが、韓国では珍しくないのか。私の地元、野田のヤンキーにはまずありえない。

「だって仕事がありません。韓国は日本みたいな新卒制度が一般的ではないので留学する人も多い。その中でいちばん近くて、簡単なのが日本ですから」

彼が「不良」と呼ぶのは、私が以前コロナ禍の新宿を取材中に知り合った韓国人留学生のことだ。コンビニでアルバイトをしていて、聞いたこともない大学に通っている。遊びの方は充実していて、日本人の女の子を取っ替え引っ替えとうそぶいていた。彼とはその後も新宿で一度出くわしたが、給付金が入ったと喜んでいた。

「それに韓国は超学歴社会なので、高卒なんてほとんどいません。悪い言い方かもしれませんが、何か欠陥があるのかなと思われます」

あくまでユンさんの意見だが、韓国の若者で高卒は少数派、マイスター高校や特性化高校(実業高校)などもあるが、上の年代から受け入れられているとは言い難い。やはり私立の名門やスポーツや芸術に特化したエリート高校からソウル、高麗、延世(三校でSKYと呼ばれる)といった難関大学校に進むか、日本のいわゆる公立高校のような一般高校からその他大学や専門学校に進む。

ちなみに韓国は一般高校に試験はない(内申点はある)が、私立の特別なエリート高校には試験がある。選ばれし少数のエリートとそうでない者が高校進学段階で選別される。もちろん例外はあるが、日本ほど逆転は容易ではない。

韓国人から見た日本の評価

「留学もアメリカやフランス、イギリスの名門大学を目指します。欧米に留学するのに成績もお金も足りない人は日本に行きます」

欧米と言うが、先進国首脳会議の旧G7の国々と例えればいいのか。つまりアメリカ、フランス、イギリス、ドイツ、イタリア、カナダ、日本が人気で、その中で一番近くて簡単なのが日本だと。

「そのとおりです。仕事もたくさんありますし、雇ってくれるところも多いので」

一緒にされたくないと言う割にはあのコンビニ店員の彼と同じことを言っている。その点の日本留学に関する韓国人の共通評価は真面目も不良も一緒ということか。ユンさんの大学もSKYほどではないにせよ上位大学出身だが、それでも厳しいという。

「とにかく韓国は仕事がない、これが一番の問題です。だから外に出るしかない」

それでも私の知る限り、韓国の若者はなんだかんだ非正規なり、チキン屋などのファストフードで働いている。そういう選択肢もあるのでは。

「それはあきらめた人ですね。優秀な人とあきらめの悪い人は留学します。目標が高いと留学です。聞こえの悪い仕事や会社には入りたくないので」

目標とは韓国の大手財閥企業に入ることを指す。インターン社員で奴隷のような非正規を続ける人もいれば、就職予備校に通い浪人する人もいる。それはユンさんのころも同じだったのか。

「数年前からそうです。今はもっとひどいかもしれません。日本は少子化で大学も余ってる。だから質の悪い韓国人留学生が増えた。チキン屋で終わるような人が日本の大学に入る」