国土交通省の調べでは、バスの車内で起きる事故でもっとも多いのが、発車時の転倒事故である。そこでディスパッチャーではAIを使って、乗客の車内移動を検知し、バスの発進時などに乗客が動こうとすると、バスはスタートしないなどの安全対策を取っている。

効率化の面では、スタッフひとりで、複数の自動運転バスを管理できるようにした。これによって、バスの運転手不足に対応でき、人件費の削減にもつながる。さらにディスパッチャーの情報は、遠隔管理しているスタッフだけでなく、自動運転車の保守点検を担当するエンジニアや、保険会社の担当者も共有することができる。

こうしたシステムに加え、「標準的なバス情報フォーマット」ファイルが用意され、事業者情報や系統、バス停などの設定を行うアプリケーション「ダイヤ編成支援システム」も開発した。

ワンマンバスでは運転手が車掌の役割も兼ねており、乗客の安全と、運行状況の確認も、当然のこととして行っている。その役割を、ディスパッチャーを活用した遠隔監視者が果たしているのだ。

100億人を運ぶバスの時代が来るか

ボードリーはこれまで、2014年に大学発のベンチャー企業である先進モビリティが改造した日野自動車の自動運転バス、それにフランス・ナビヤ社の15人乗り自動運転バス「アルマ」を使って、各地で自動運転の実績を積み重ねている。

ボードリーが運行支援する「アルマ」
筆者撮影
ボードリーが運行支援する「アルマ」

注目されたのは、東京電力福島第一原子力発電所内の構内バスに採用されたことだ。ハンドルや運転席のないアルマが3台導入され、ボードリーが運行支援している。

この他、羽田空港では全日空と共同で、江の島では小田急と共同して実証実験を行った。大学関係では、慶應大学の藤沢湘南キャンパスと、東京大学の柏キャンパスで実証実験を行い、企業や大学との連携も深めている。

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さらに福岡県北九州市や鳥取県八頭町、長野県白馬村、静岡県浜松市などと協定を結び、自動運転の実証実験を進めている。

「乗合バスは全国6万台で、年間42億人を運んでいます。しかし1972年頃には100億人以上を運んでいた時代もありました。MaaSとCASEの時代を迎えて、もう一度、バスの輸送人員100億人の時代を目指したいですね」

佐治は、ディスパッチャーの海外への展開も狙っている。すでにアジアから引き合いが来ている。海外の新興国では、まっさらな状態から大規模なスマートシティを作るケースも多く、自動運転バスの専用レーンを確保して、日本より運行管理の仕組みを作りやすい場合もありそうだ。

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